第21期朝日オープン選手権レポート

第1局

第20期選手権者の堀口一史座選手権者は見事C1級昇級を果たした。ちなみにC1級もう一人の昇級者は決勝を戦った杉本昌隆七段。なんとも寄寓な感じがするが、フロッグだけでトーナメントを勝ち上がった訳ではない、という証明とも言える。
将棋世界誌4月号「棋士たちの真情」は堀口選手権者だったので興味深く読んだ。人間的にも懐が深いという印象を受けた。
挑戦者の深浦七段は実績では遥かに選手権者を上回る実力者だ。羽生三冠を破っての挑戦権獲得はさすがだ。
両者とも芯の太い将棋なので、好局が期待できる。

第1局は中座飛車になった。図は先手が大模様で受けきろうとしている局面。一ケ所でも綻びがあれば後手が優勢になる。

後手:深浦康市七段
後手の持駒:角 歩 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v金v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・v桂v歩 ・v歩v桂v銀v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|四
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ 歩v歩 ・|五
| ・ ・ 銀 ・ ・ 歩 ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 金 銀 ・ 歩|七
| ・ 金 ・ ・ 玉 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:堀口一史座選手権者
先手の持駒:角 歩四 
【手数=67 ▲7六銀 まで】

ここから△3八歩▲4九玉△6九角▲3八玉△5八角成と進んだ。
いかにも玄人好みの応手と思う。形勢の方は微差ではあるが後手に傾いたと思われる。

結果は128手で深浦七段の勝ち。第2局以降も玄人好みの好局が期待出来そうだ(でも中座飛車は理解不能なのだ)。

#一言日記:レイトショーで「指輪物語り」を見に行こうと近くのシネコンに足を運んだが、財布を忘れて見れなかった(T_T)
[2003/04/06 01:00]
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第2局

第2局は▲2六歩△8四歩の出だし。先手は飛車先交換後2八と深く引き、銀を3六に繰り出す作戦を採用、対する後手は浮き飛車から△7四飛とネコ式縦歩取りの構え。こうなると全くの力戦形でよく分からない将棋となった。

ということで、印象に残った下図を紹介してお茶を濁すこととする。

後手:堀口一史座選手権者
後手の持駒:歩 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・ ・v金v角 ・|二
| ・ ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩 ・|三
|v歩 ・v飛 ・v歩v銀 ・ ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|五
| 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 歩 ・ ・ 銀 歩 ・ ・|七
| ・ 角 金 銀 ・ ・ 金 飛 ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市七段
先手の持駒:歩 
【手数=42 △5四歩 まで】

ここで深浦七段は▲7六歩。歩を取らせる代償に駒組を楽にするのが狙いだが、その善悪は微妙で力戦形ならではの手と思う。

力戦形特有のねじりあいが続くかと思われたが、最後はわりとあっさりと後手堀口選手権者が土俵を割り、117手深浦七段が勝った。

深浦七段の連勝で奪取まであと1勝となったが、このままあっさりとは終わらない気がする(希望的観測?)。
#一言日記:私信。M先輩ご結婚おめでとうございま〜す\(^o^)/
[2003/04/12 00:00]
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第3局

第3局も中座飛車。飛車を8四に引き△5五歩とする角不交換形だ。下図までは第1局と同様。
第1局は▲3六歩△3四飛▲3七銀だったが...。

後手:深浦康市七段
後手の持駒:歩二 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v玉 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 ・v歩v歩 ・v歩v角 ・v歩|三
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 角 金 ・ 玉 銀 金 ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:堀口一史座選手権者
先手の持駒:歩二 
【手数=28 △5五歩 まで】

図から▲6八銀△5一金▲3六歩△3四飛▲3七金と進んだ。
▲3七金が堀口選手権者らしいごつい手。金で押さえ込もうという発想だが、力強さを感じる。

勝負の方は、攻めている後手が一歩に泣く展開となり、115手で先手堀口選手権者が勝った。

#一言日記:急に暖かくなったと思ったら、今日は冬に戻ったように寒い一日だった。
[2003/04/22 01:00]
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第4局

しまった。今日は朝日オープン第4局だったのね。一日中寝ていて気がつきませんでした。

第4局は角換り腰掛銀。さらっと並べてみたが、行方七段の解説の通り後手の堀口選手権者がはっきり優勢になる局面もあったけど、チャンスを逃した感じ。149手で深浦七段が勝って、第2代選手権者になった。

下図はその後手はっきり優勢になっていたはずの局面。△6六歩では単に△4八飛成が分かりやすかった。

後手:堀口一史座選手権者
後手の持駒:桂 歩三 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v飛v金 ・ ・|二
| ・ 馬 と とv歩 ・v銀v歩 ・|三
|v歩 ・ ・ ・v金 ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩v歩 ・v銀 ・ ・ ・v歩|五
| 歩 ・ ・v歩 ・ ・ 歩 歩 ・|六
| ・ 歩 銀 銀 ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 金 ・ ・ ・v馬 ・|八
| 香 桂 飛 ・ ・vと ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市七段
先手の持駒:桂 香 
【手数=88 △6六歩打 まで】

図から▲4七香△4六歩▲5六銀と進んだ。
▲4七香が攻めを遅らせる好手だった。これで後手は簡単には飛車を成ることが出来なくなって混戦になった。

もう一回、今度はとどめの香打ち。

後手:堀口一史座選手権者
後手の持駒:金二 銀二 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ 龍 ・ ・v歩v玉v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ と ・ ・v金v歩 ・|三
|v歩 馬 ・v歩v金 ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|五
| 歩 ・ ・ 銀 銀 ・ 歩 歩 ・|六
| ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| 玉 ・ ・vと ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・vと ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:深浦康市七段
先手の持駒:角 桂二 香 歩四 
【手数=124 △6八と まで】
図で、▲4七香。
奇しくも再度の▲4七香が決め手となった。

#一言日記:どうも風邪をひいてしまったらしい。GWまっただ中に1日中寝て過ごすという体たらくな一日だった。
[2003/05/02 00:10]
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