第1局
Web中継もない中、ひっそりと第55期王将は始まった。佐藤vs羽生17番勝負がさらに7番拡張。また第1局は通算100局目だという。にもかかわらず、Web中継がないのは寂しいの一言に尽きる。
最近対局の度に工夫の序盤を披露している佐藤棋聖だが、本局も工夫の序盤となった。後手は菊水矢倉模様。
先手はいつでも飛車先の歩を交換できる権利を有していたが、3三の角を△5一角としたところで遂に決行した。下図。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・v角 ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 ・v歩v歩v銀v金 ・ ・v歩|三
| ・v歩 ・ ・v歩v歩v歩 角 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 銀 ・ ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:歩
【手数=31 ▲2四同角 まで】
ここから△4二銀▲6八角△3三銀右▲2五歩と進んだ。
ここは△3三桂が相場としたものだが、△4二銀が工夫の一手。見たことのない手だが一目凝り形だ。さすがに構想に無理があるのではないだろうか。
この後、後手は△1三銀から△2二玉と入城、さらに穴熊に組み替えた。どうやら穴熊への組み換えが狙いだったようだが、手が掛かりすぎるので先手も万全な体制で先攻できる。したがって先手優勢。
とはいうものの先手の攻めも細い。下図は飛車取りが掛かっており忙しい局面だ。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:桂 歩五
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ 馬 ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
| ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・v銀v香|二
|v香 ・v桂v歩 ・v金 ・v歩 ・|三
| ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩v歩|五
| ・ 銀 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 金 ・ ・v馬 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・v銀 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:金 銀
【手数=88 △4二飛 まで】
ここから▲2四歩△2八馬▲2三歩成△同 銀▲4四歩△3三金▲1五香△同 香と進んだ。
▲2四歩は飛車を見捨てた踏み込んだ手だ。こういう手が出るようでは先手勝勢かと思ったがそうでもなかったらしい。一歩を補充する▲1五香に△同香としたのが「堂々とし過ぎで、食いつかれてしまいました」と佐藤の局後の感想がある。
結果は139手で羽生が防衛に向けて好スタートを切った。両者の通算成績は羽生から見て61勝39敗となった。
#一言日記:今年はじめての更新。あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
[2006/01/14 23:50]
|王将戦に戻る|
第2局
第2局は後手の羽生が久々に飛車を振ってくれた。先手佐藤は△6四歩を見て▲5五角とする作戦を取って下図。
下図では△6四歩と△6二玉のバランスが気になる。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一
| ・ ・v銀v玉 ・v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩 ・v歩v銀v角v歩v歩|三
|v歩 ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:なし
【手数=21 ▲5五角 まで】
ここから△6三銀▲7七角△7四歩▲6六歩△7三桂▲6七金△4五歩▲6五歩△同 桂▲3三角成△同 桂▲6六銀△7二金▲2四歩と進んで開戦に。
▲5五角で△6三銀を強要して角を右辺に展開して持久戦にする手法はよく目にするが▲7七角と左辺に戻るのは珍しいのではないだろうか。
△7二金は苦心の一手に思う。こうなると先手の▲2四歩は自然で、飛車先は破れた。
少し進んで下図。互いに飛車を成り合っているが、果たしてどちらが優勢なのだろうか。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・v金 ・v歩v香|一
| ・ ・v金v玉 ・ ・v銀 ・ ・|二
| ・v歩 ・v銀v歩 ・v桂 ・v歩|三
|v歩 ・v歩v歩 ・ ・ 龍 ・ ・|四
| ・ ・ ・v桂 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 金 ・v龍 歩 ・ 歩|七
| ・ 玉 金 銀 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・v馬 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:角 歩三
【手数=53 ▲3四龍 まで】
ここから△4四歩▲2四歩△2二歩▲2三歩成△同 歩▲2四歩△同 歩▲2三歩△3一金▲3五角△4二金▲2二歩成△4三銀▲2三龍△7五歩と進んだ。
途中の▲3五角はぼんやりとしたよく分からない手だ。しかし2筋にと金ができた時点では先手の模様が良さそうな気がする。
後手も△7五歩と遂に反撃に出たが、後手が分かり易く優勢の場合は△4五桂と左の桂も捌く展開になりそうな気がする。そういう意味でも△7五歩はやや苦しいと見た勝負手か。
この後の終盤戦はハードパンチの応酬でとても見応えがあったが、Web解説がないので理解不能だ。
図はそんな終盤の一幕。▲6一銀と先手が厳しい銀を掛けたところ。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:金 桂二 香 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・ 龍|一
| ・ ・v金v玉 ・ ・v歩 ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・v歩 ・v桂 ・v歩|三
|v歩 ・v銀v歩 ・v歩 ・v歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・|五
| 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 金 ・ ・ ・ 歩 ・ 歩|七
| 玉 ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・v馬 ・v龍 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:金 銀 桂 歩二
【手数=103 ▲6一銀 まで】
ここから△9七香▲8八玉△7六桂▲同 金△同 馬▲5一龍と進んだ。
△7六同馬で遂に先手に手番が回った。▲5一龍から王手ラッシュ。詰むや詰まざるやの将棋になったが、それにしても▲3五角が以外と攻防に利いているのには唸った。
実は133手目▲6三銀打なら後手玉は詰んでいたのだが、佐藤はこれを逃してしまう。146手で羽生の連勝。
難解な終盤はとても見応えがあった。しかし全体を振り返ってみると終始先手ペースだった気がする。本譜の後手四間は序盤に修正の余地がありそうだ。
それにしても羽生の神通力は凄い。佐藤をもってしても詰みを逃させてしまうのだから。
#一言日記:雪、結構降った。今年の冬は寒いので春の花粉症は緩和されるのかな?
[2006/01/21 23:20]
|王将戦に戻る|
第3局
第3局はタイトル戦では珍しい相横歩取り。直線的な展開になることが多いのでタイトル戦の様な長丁場、ましてや二日制には向かない戦法だと思う。
前期名人戦第5局(羽生○vs●森内)でも森内名人が果敢にこの戦法に挑戦したが短手数で羽生四冠に破れている。後手番で相横歩を選択した佐藤棋聖の狙いは。
図は▲4六角としたところ。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:飛 角 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉 ・v銀v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・ ・|六
| 歩 ・ 銀 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ 玉 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:飛 歩三
【手数=23 ▲4六角 まで】
ここから△6四歩▲2八飛△3三桂と進んだ。
△6四歩で前期名人戦第5局から離れた。羽生は▲2八飛としたが飛車成りを恐れず△3三桂が軽手。▲2一飛成は△2二飛の合わせがあるので怖くない。
図は△6五桂としたところ。△2五飛があるのでこの桂馬はすぐには取れない。左右の桂馬が跳躍しているこの局面は後手もまんざらではない気がする。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:飛 角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v銀 ・ ・v玉v金v銀 ・|二
|v歩 ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ 歩v桂 角v桂 ・ ・ ・|五
| ・v歩 ・ 銀 ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 ・ ・ 歩 歩 歩v歩 ・ 歩|七
| ・ 歩 金 ・ 玉 ・ ・ 銀 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:飛 歩三
【手数=46 △6五桂 まで】
ここから▲3七桂△5七桂左成▲同 銀△6九角▲同 玉△5七桂不成▲6八玉△4九桂成▲5四歩△5六飛▲5三歩成△同 玉▲4五桂△5二玉▲5四飛と進んだ。
▲3七桂されたら、△5七桂左成から殺到するのは勢いというもの。しかし△5六飛は危険な手だった。▲5四飛まで進んでみると5六の飛車が王手で抜かれる形となっている。△5六飛では△3八飛が有力とのことだ。
67手で羽生が勝って3連勝となった。
2連敗という背水の陣で相横歩の後手番に挑んだ佐藤だったが報われなかった。しかし先手有利と言われている相横歩の後手で善戦したのは評価すべきだろう。
#一言日記:ライブドアショック。錬金術というよりはねずみ講だなあれは。確かホリエモンを応援した大臣は経済学者だったと思うが、彼の目は節穴か?
[2006/01/29 23:50]
|王将戦に戻る|
第4局
佐藤棋聖角番の第4局は後手羽生王将に一手損角換り。互いに居玉のまま激しい展開になった。
図は3四の銀を△4三銀として形を整えたところ。ここで佐藤棋聖に局面をリードする好手が出た。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:角 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v玉 ・ ・ ・v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v歩v銀v歩v銀v桂v金 ・|三
|v歩v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩v歩|四
| ・ ・ ・ ・ 銀v歩 ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 歩 ・ 歩 ・ ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ 玉 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:角 歩二
【手数=38 △4三銀 まで】
ここから▲3五角△6二玉▲2四角△2五歩と進んだ。
▲3五角が好手と思う。角を手放すのはちょっと気付きにくいが本譜のように2筋で歩得に成功した。
後手は自然と思われる右辺へと玉を移し、右玉独特のまったりとした展開にしたいところだが、本譜はそうはならなかった。
少し進んで下図。△5四歩として5五で威張っている先手の銀を殺したところ。しかしこれは先手の読み筋で切り返しがあった。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v飛 ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・v金v桂 ・ ・|三
|v歩v歩v歩v歩v歩 ・v金 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ 銀v歩 ・v銀 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・v歩 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ ・ 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ 飛 歩 ・|八
| 香 桂 ・ ・ 角 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:歩二
【手数=58 △5四歩 まで】
ここから▲1七桂△5五歩▲2五桂△同桂▲2六角△4四銀▲3二銀△3三金寄▲2三銀成と進んだ。
▲1七桂が用意の切り返しで桂を損するものの大駒がよく働く形になり先手優勢になったようだ。
後手は歩切れに泣く展開になった。最後まで飛車を使うことができなかったことも痛かった。そうしてみると▲3五角に対して△6二玉ではなく△4二玉とする手はなかったのだろうか。これはこれで当たりがきつくなりそうか。
151手で佐藤が勝って角番を耐えた。
#一言日記:トリノオリンピック。日本は冴えないなぁ。
[2006/02/17 01:50]
|王将戦に戻る|
第5局
佐藤棋聖後手番の第5局、▲7六歩に対して佐藤は△3二金。振り飛車を誘った手だが、羽生は5筋位取り中飛車を選択した。△3二金を咎めるために飛車を振るなら三間か四間が得なので、中飛車にしたのは別なところに狙いがあったと推定する。
後手佐藤は持久戦にする気は全くなかったらしく、序盤からものすごい展開となった。
図は△5四歩!としたところ。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・v銀 ・v銀v金v角 ・|二
|v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七
| ・ 角 ・ ・ 飛 玉 ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:なし
【手数=10 △5四歩 まで】
ここから▲同歩△8八角成▲同銀△4五角▲7八金△2七角成▲5三角と進んだ。
互いに馬を作り合う力戦形になった。振り飛車の立場から見れば2筋の歩を取られたのは、2筋に歩が立つと考えればそれほど癪ではない。まずは互角の序盤戦だろうか。
中盤戦。後手が△7四歩と突き捨てて7筋から手を作ろうとした動きに対し、先手は歩得のまま局面を納めようとする戦いに。
図は▲5八歩としたところ。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v飛 ・ ・v銀v金v玉 ・|二
|v歩v歩 ・v金v馬v歩 ・v歩 ・|三
| ・ ・ 歩v歩 ・v銀v歩 ・v歩|四
| ・ 馬 飛v桂 ・v桂 ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ 銀v歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七
| ・ ・ ・ 金 歩 ・ ・ 玉 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:歩
【手数=63 ▲5八歩 まで】
ここから△5七桂右成▲同歩△6五歩▲同飛△6四金▲7七桂と進んだ。
後手は桂馬の成り捨てから飛車を詰ました。先手陣が美濃ならば、金桂と飛車の二枚換えでの展開は迷わず振り飛車を持ちたいところだ。しかし本譜は4九の金が浮いているのでぎりぎり成立しているのか?
少し進んで下図。▲6三とと寄ったところ。こうなると後手の手は一手しかない。もちろん先手も承知だろう。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:香
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ 歩 ・ ・v銀v金v玉 ・|二
|v歩v歩 ・ と ・v歩 ・v歩 ・|三
| ・ ・ ・v馬 ・v銀v歩 ・v歩|四
| ・ 馬 ・ 桂 ・v桂 ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七
| ・ ・ ・ 金 ・ ・ 金 玉 ・|八
|v龍 ・ ・ ・ ・ ・ 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:金 桂 歩二
【手数=81 ▲6三と まで】
ここから△3七馬▲同桂△同桂成▲同金△5六飛▲6九金打△3五香▲3八歩△3七香成▲同歩△7八金と進んだ。
もの凄く細い攻めだが後手佐藤は果敢に攻める。
以下も揺るぎない寄せで先手陣を追い込んで108手で佐藤棋聖の勝ちとなった。
中盤は羽生王将の感想
「途中で1歩得しても、たいしたことがなかったのが誤算でした。6九金打(87手目)で難しくなった気もしましたが、やはり足りませんでした。」
にもあるように歩得で優劣がつく将棋ではなかったようだが、それでも形勢は互角だった感じがする。
終盤は佐藤棋聖の感想
「3七馬(82手目)として、寄せ切ったつもりでしたが、思ったより大変だったかもしれません。最後の詰みを見つけて、勝ちだと思いました」
にもあるように必ずしも後手の攻めが成立していたとは言えなかったかもしれない。103手目△3九龍の王手に▲3八香としたのが羽生らしくない終盤の疑問手だったようだ。香合いだったので詰んでしまったが▲3八桂だったらどうなるのか。これは後手切れ筋なのでないだろうか。
Web解説がないのでこの辺りの真相は直ぐには分からないが、手に汗握る熱戦だったのは事実と思う。
羽生3連勝であっさり決まってしまう雰囲気だった今期王将戦も、佐藤の猛烈な追い上げで分からなくなってきた。
#一言日記:去年の十分の一という杉花粉だが、今年もいよいよやって来た、と私の目鼻が言っている。
[2006/02/26 01:20]
|王将戦に戻る|
第6局
第6局は第1局と似た序盤になった。今度は後手の羽生王将が注文をつけた感じ。第1局の佐藤棋聖は角交換を拒む趣向を見せたが、羽生は5筋から積極的に動いた。
図は5八飛としたところ。これで5六の歩は助からない。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・v飛v角v金v銀 ・|二
|v歩v歩v桂v歩 ・v金 ・v歩v歩|三
| ・ ・v歩 ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・v銀 ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 歩v歩 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 銀 ・ ・ 歩|七
| ・ 玉 金 角 飛 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:歩
【手数=41 ▲5八飛 まで】
ここから△3三銀▲5六金△同銀▲同銀△6九金と進んだ。
悠々△3三銀として5六歩を取らせ、△6九金としたのが驚きの手順だった。第9期竜王戦で真田七段が谷川竜王(当時)の陽動振り飛車に対して▲4一金としたのを覚えているが、それに類似する異筋の金だ。
ここからは羽生の攻め佐藤の受けという展開になったが、攻めが薄い感じは否めない。
図は△3九角としたところ。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:金 銀 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
|v歩v歩 ・v歩v金 ・ ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩v銀 ・|四
| ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ 銀 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・v角 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:飛 角 銀 桂 歩
【手数=80 △3九角 まで】
ここから▲2四飛△同歩▲2三歩△同金▲3一銀△同玉▲5一飛と進んだ。
ばさっと飛車を切るのが、当然とはいえ勢いのある手だった。以降攻め合いになるが、後手の攻めはわずかにおよばず111手で佐藤が勝利した。
なんと羽生3連勝ではじまった今期の王将戦だがあれよあれよという間に佐藤がタイに追いついてしまった。
あれほど勝ちまくっていた羽生もここに来て失速気味。厳しい日程が続いているので疲労がたまっていると思われるが、こればかりは強者の宿命だ。
#一言日記:A級順位戦最終日は羽生四冠谷川九段共に勝ってプレーオフ(3月16日)に。羽生は勝負将棋が続く。
[2006/03/10 01:30]
|王将戦に戻る|
第7局
棋王戦を森内名人に奪取され、A級順位戦プレーオフも谷川九段に負けてしまった羽生王将。自己初の5連敗中だ。
王将戦も佐藤棋聖の脅威の追い上げでフルセット決着になったが、本局だけは落とせない、という気持ちは強いだろう。
遅まきながら、ネット中継も行われた第7局は相矢倉になった。
図は△4六角と打ったところ。後手が8筋の継歩で銀桂交換に成功したが、代償として飛車が狭い場所に追い込まれている。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:銀 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・v金 ・v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v飛v歩v銀 歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・ 歩 ・|五
| 歩 歩 歩 歩 歩v角 ・ ・ 歩|六
| ・ 金 ・ 金 ・ ・ 桂 ・ ・|七
| ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:角 桂 歩四
【手数=72 △4六角 まで】
ここから▲5七桂△5五歩と進んだ。
▲5七桂はプロっぽい手だが、△5五歩の味が良すぎて後手優勢になったようだ。解説によればここはとにかく▲4四銀と行くしかなかったとのこと。
優勢になってから羽生は勝ち方が早かった。図は▲6五飛とと金から逃げたところ。△5二銀で問題なさそうだが、決めにいく手があった。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:金 銀 桂 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ 飛 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
| ・ ・ ・v銀 ・v金 ・v歩 ・|三
|v歩 ・v歩 歩 ・v銀 歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ 飛 ・ 銀 ・ 歩 ・|五
| 歩 歩 歩 ・ ・v角 ・ ・ 歩|六
| ・ 金 ・ ・vと ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:角 歩五
【手数=85 ▲6五飛 まで】
ここで羽生は△5五角とした。
駒を一枚損しても飛車を持てば先手陣は寄せられる、という判断は流石。
98手で羽生が勝って辛くも防衛した。ここ一番の羽生の矢倉は強かった。史上初の3連敗後4連勝は成らず。
#一言日記:会社が傾いているこのタイミングで家を購入した。段ボールに囲まれた生活は当分続きそう。
WBCの感想。日本優勝万歳!疑惑のジャッジや不可解なレギュレーション等色々あったが、最も印象に残ったのは韓国の節操のなさ。
[2006/03/23 23:55]
|王将戦に戻る|
|棋戦ウォッチに戻る|トップに戻る|