第1局
またしても佐藤棋聖登場!棋王戦の挑戦権も獲得していて、5棋戦連続挑戦。新記録だそうだ。
注目の第1局は後手羽生王将の一手損角換りから千日手に。
指し直し局は手番が入れ替わって、後手佐藤棋聖は、最近の後手番エースのゴキゲン中飛車を採用。対する羽生は新丸山ワクチンで対抗となった。
図は▲8二角に△1三香としたところ。ここに角を打つのは、いかにも誘いの隙という感じで指す気がしないが、羽生は敢えて踏み込んだ。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:角 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一
| ・ 角v銀v玉v飛 ・ ・ ・ ・|二
|v香v歩v歩v歩 ・v歩v銀v歩v歩|三
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 銀 ・ 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:歩
【手数=26 △9三香 まで】
ここから▲6八金△5四飛▲8六歩△7一金▲9一角成△9五歩▲同歩△9六歩▲同香△7四角▲8七玉△5五飛と進んだ。
浮き飛車から9筋に狙いを付けられてみると、9一の馬と先手陣を同時に攻められる展開になって後手に楽しみの多い展開になった。
羽生も顔面受け〜攻め合いと最強の手順で応手したが、やはり足りず、68手で佐藤の快勝となった。
今年も佐藤棋聖の好調は続いている様だ。
#一言日記:遅まきながら、2007年明けましておめでとうございます。今年もこの更新ペースでやっていこうと思います。
[2007/01/15 00:20]
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第2局
第1局は千日手だったので、第2局も羽生王将の先手で始まった本局は矢倉になった。純文学にも例えられる矢倉だが、近年、頻出度は下がっている。最近の佐藤棋聖が後手で力戦形を好む傾向を加味すると、矢倉はむしろ少し意外な感じさえする。
図は▲1七香と間合いを計ったところ。▲7六歩とせず、攻勢のまま布陣を保った。
これを見て後手は仕掛けた。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
| ・ ・ ・v歩v銀v金v銀v歩v歩|三
| ・ ・ ・v角v歩v歩v歩 ・ ・|四
|v歩v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩|五
| ・ ・ ・ 歩 歩 角 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 ・ ・ 銀 ・ 香|七
| ・ 玉 金 ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:歩二
【手数=53 ▲1七香 まで】
ここから△5五歩▲同角△7六歩▲同金△5五角▲同歩△6四銀▲7四角△5五銀▲6三角成△5二角と進んだ。
ここで仕掛けるのは佐藤らしい決断だ。△7六歩は金銀とどちらで取っても嫌な形だが、後手も歩切れになる。
WEBの解説を見る限り後手の攻めも主張が通っており、ぎりぎりの手順ながら後手の攻めが成立しそうなニュアンスだった。
▲7四角から馬を作ってもたれて指すのが羽生一流の勝負術で、3七の銀を使った攻め合いは先手自信の持てない変化になるとのことだった。
最終手△5二角は飛車を5筋で使うつもりの手だが、この後再度6三に打たれて急に後手の模様が悪くなった気がする。解説にもあるように△5二角では△4五角とこちらから合わせる方が勝っており疑問手ではないだろうか。
この後飛車を3一に追われて、大差になってしまった。
これで一勝一敗のタイ。本シリーズではもう一度位矢倉が出現する気がする(なんの根拠もないが)。
#一言日記:AppleからiPhoneが発表された。何やら商標でもめているらしいが、OSはOS XなのでいっそのことMac nanoとかにしてしまえば。
Appleらしいデバイスだが、3Gに対応していないので日本での発売は未定。発売するとしたらやはりSoftBankかな(Macworld Conferenceで孫氏の目撃情報あり)。
[2007/01/21 23:15]
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第3局
第3局。出だしは▲7六歩△8四歩▲7七角△3四歩▲8八飛と先手佐藤棋聖の力戦形向飛車となった。趣向をこらしたのはやはり佐藤で、後手羽生王将から角交換を挑むが、先手は意に介せずと穴熊に。
先手が穴熊の堅陣を頼りに9筋から仕掛けて戦いの火ぶたが切って落とされた。
しかしやや無理気味な感じは否めない。アマチュアなら多少無理気味でも穴熊流で食いついてしまうであろう局面が下図。先に損した香車を取り返せれば先手も何とかなりそうだ。
△8六歩▲同歩と8筋を突き捨てて、次の一手は第一感だが、その後たちまち穴熊城を弱体化してしまう。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:角 香 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ 馬 ・ ・v金v金v玉 ・|二
|v香 ・ ・ ・v歩 ・v銀v歩 ・|三
| 歩v飛v歩v歩v銀 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩|五
| ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ 銀 歩 歩 歩 歩 歩 歩|七
| 飛 ・ ・ ・ ・ ・ 金 銀 香|八
| ・ 桂 ・ ・ ・ ・ 金 桂 玉|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:歩
【手数=61 ▲8六同歩 まで】
ここから△6五角▲9五飛△4六歩▲同歩△3八角成▲同金△4七歩と進んだ。
△6五角から△4六歩▲同歩△3八角成と角を切ってしまうのが指されてみれば納得の最速の手だった。
△4七歩も放置すれば△4八金と張り付かれるので、取るしかない。たちまち穴熊の金を陣形から崩してしまった。
見事な穴熊崩しで、羽生の快勝。2勝目をあげた。
#一言日記:「あるある大辞典II」の納豆騒ぎには飽きれてしまった。番組よりもTV番組ごときに右往左往している視聴者(の一部)に辟易。
ユーザーの目が節穴だと、良いものをつくっているメーカーもうかばれない。
[2007/01/28 00:40]
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第4局
佐藤棋聖後手の第4局はもはや佐藤の後手番のエースと言えるゴキゲン中飛車に。先手羽生棋王は新丸山ワクチンで対抗し互いに玉を整備し合う進行になった。
図は△5三銀としたところ。ちょっと真意をはかりかねる一手だが、佐藤らしい手とも言える。とかくプロの将棋は手を殺し合う展開が多いが、本譜は互いの好みが前面に出る展開になった。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一
| ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二
| ・v歩v歩 ・v銀v歩 ・ ・v歩|三
|v歩 ・ ・v歩v歩 ・v歩v銀 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 銀 ・ ・|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|七
| ・ 玉 ・ ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:角 歩
【手数=34 △5三銀 まで】
ここから▲7八角△3三桂▲3四角△5二金▲7八金△7四歩▲4七銀△5五歩▲3六歩△5四銀▲6七角△6五歩と進んだ。
▲7八角は一歩をかすめ取る狙いだが、角を手放すので善悪は微妙だ。羽生の個性の出た一手と言えるだろう。
先手の狙いは本譜のように3四の歩をかすめ取った後3筋の歩を延ばして行くという分かり易いものだ。にもかかわらず△3三桂としてしまうところに佐藤の個性と感じだ。
形勢は狙い筋の実現がほぼ確実な先手がペースを握っているとも言えるが、6七の角が目標の駒になっており、△6五歩と進んだところでは後手も十分やれそうだと思った。
図は▲2六歩としたところ。桂得が約束された。後手としてはこの瞬間に技を掛けたいところ。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:角 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二
| ・v歩 ・v金 ・v歩 ・ ・v歩|三
|v歩 ・v歩 ・v銀 ・ ・v銀 ・|四
| ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩v桂 ・|五
| 歩 ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 歩 ・|六
| ・ 歩 ・ 角 歩 銀 ・ ・ 歩|七
| ・ 玉 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:歩三
【手数=55 ▲2六歩 まで】
ここから△3七角▲同桂△同桂成▲6四歩△6二金引▲2九飛△6五歩▲7七銀△3五銀▲3八歩と進んだ。
△3七角がこれまた佐藤らいし無骨な手だ。指されてみれば確かに振り払うのは大変そうだ。△6五歩▲7七銀を決めてから△3五銀と遊び駒の活用を図ったが、▲3八歩が銀桂交換を催促する好手だったようだ。先手の欲しい駒は桂で、この後4一角と8六桂のコンビネーションが実現して先手優勢になったようだ。
123手で羽生の勝ち。永世王将まであと1勝とした。
#一言日記:この連休は棋王戦もあった。急所の分かりにくい将棋だった。
[2007/02/12 23:10]
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第5局
第5局は矢倉戦、200手を越える熱戦になった。
図は▲8二銀としたところ。先手は7五の地点で一歩損をしてまで銀交換を決行している。矢倉戦では手筋だがやや強引な感じがする。佐藤らしい手ではあるが。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:銀 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
|v飛 ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
| ・ 銀 ・v歩v角v金v銀v歩 ・|三
| ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩|四
|v歩 ・ ・ 歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ ・ 銀 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| 歩 歩 ・ 金 ・ 歩 角 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・ 飛|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:なし
【手数=57 ▲8三銀 まで】
ここから△9三飛▲8二角成△4四角▲7二銀成と進んだ。
▲7二銀成は▲7四銀成とした方が手厚いが、▲7二銀成は敵の駒を取りきる強い意志を感じる手だ。
後手は飛車は取られそうだが、先手は銀を手放していることと、△4四角の味が良いので後手としてもやれる局面だと思う。
実際ここから後手は角の利きを活かして攻めきることが出来るか、否かという将棋になってきた。
図は△6六銀とかぶせたところ。露骨な攻めだけに振り切るのは大変かと思っていたが、陥穽があった。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:金 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
|v香 ・ 馬 ・ ・v金v銀v歩 ・|三
| ・v歩 ・ ・v歩v角v歩 ・v歩|四
|v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ ・v銀 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| 歩 歩 歩 金 銀 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:飛 銀 桂
【手数=80 △6六銀 まで】
ここから△6六銀▲同銀△同歩▲同金△同角▲3一銀と進んだ。
全て取りきってしまうのが好判断で、6六に角が来た瞬間に▲3一銀が決まった。どう応じても王手角取りが掛かってしまう。
ここで体勢は決したと思う。
佐藤が207手の熱戦を制して角番を凌いだ。
#一言日記:今年もまた花粉症の時期がやってきたが、ぼちぼち症状が出て来た。昨年は楽だったが今年は暖冬であるにもかかわらず更に楽になるとのことだ。
[2007/02/19 01:50]
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第6局
遂に羽生王将が飛車を振ってくれた。先手羽生の四間飛車に対して後手佐藤棋聖は藤井システムを牽制する△5五角戦法を採用し、四間飛車党の私にとってはとても興味深い第6局となった。
2日目は仕事でWebを見る余裕がなく、ブラウザの履歴から1日目のKifu画面に飛んだら、なんと千日手になっていた。
図は△6五銀と6四の銀を歩の頭に立って、飛車の横利きで3四の金に当てたところ。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v銀v桂v玉|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・v金v角v香|二
|v歩 ・v桂v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・v飛 ・ ・ ・ 金 ・ ・|四
| ・v歩 ・v銀v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 角 銀 歩 ・ 歩 ・ ・|七
| ・ ・ 飛 ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:歩
【手数=52 △6五銀 まで】
ここから△7六銀▲同銀△同飛▲3四銀△4四銀▲2四歩△3五銀▲2三歩成△3三歩▲3二と△同銀▲2三金△3一金▲3二金△同 金▲2三銀打...と進んで千日手。
どうやら昼食をとる前に両者とも千日手を視野に入れていたようだ。
せっかくの四間飛車戦が千日手になってしまって少し萎えてしまったが、棋譜を追ってみると指し直し局も羽生が飛車を振ってくれたことが判明してうれしくなった。
先後を入れ替えた指し直し局は後手向飛車。
図は△4六銀打と飛車の捌きを封じたところ。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・ ・v飛 ・|二
| ・v歩v桂v銀v歩 ・v桂 ・v歩|三
|v歩 ・ ・v歩 ・v角v歩 ・ ・|四
| ・ ・v歩 ・ 歩v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ ・ 歩 ・v銀 歩v歩 ・|六
| 歩 歩 ・ 金 ・ ・ 桂 ・ 歩|七
| 香 銀 ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八
| 玉 桂 ・ 金 角 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:銀 歩
【手数=54 △4六銀 まで】
ここから▲4五桂△4七歩▲7八飛△4五桂▲7五飛△5七銀成▲同金△同桂不成▲7八金△7四金と進んだ。
▲4五桂は穴熊ならではの強引な手だ。△4七歩に手順に▲7八飛と回った。駒得で後手好調のようだが、歩切れが痛く、歩ですむところを△7四金と金を投入した。このあたりは良い勝負だと思う。
図は7六桂に△8五金と紐をつけたところ。後手は7四の地点が薄いのが気になる。▲4一飛成には△4二飛とぶつけて勝負だろうか。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v玉v金 ・ ・v飛 ・|二
| ・v歩v桂v銀v歩 ・ ・ ・v歩|三
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・v金 歩 ・v角 ・ ・ 歩 ・|五
| ・ 角v桂 歩 ・ ・ 歩v歩 ・|六
| 歩 歩 銀 ・ ・ 飛 ・ ・ 歩|七
| 香 ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 ・v圭 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:銀二 歩三
【手数=74 △8五金 まで】
ここから▲7六銀△同金▲7四桂△5一玉▲3一銀△4二飛▲4二銀打△同飛▲同銀成△同金▲4三歩△5二金寄▲4五飛打と進んだ。
先手の欲しい駒は桂馬だ。▲7六銀で桂馬をゲット。7六の桂は数手前に打ったもので、これを逆用された形になった。
△5一玉は薄氷の受けだが、▲3一銀〜▲4二銀打と飛車を確保し、▲4五飛打できれいに決まった。
振り飛車も指せると思っていたが、居飛穴の距離は遠かった。
これで勝負は第7局に持ち越しとなった。
#一言日記:明日(というか今日)から久しぶりに家族旅行。早く寝ねば。
[2007/03/09 01:20]
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第7局
毎度後手番で趣向を魅せる佐藤棋聖。本局も力戦向飛車に命運を託した。
図は一手損角換りから△2二飛としたとろ。従来は4二飛だったが、ここで△2二飛が新工夫だ。▲6五角は大丈夫なのだろうか。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金v玉v金 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩v歩v銀v歩 ・|三
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 銀 ・ 玉 ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:角
【手数=14 △2二飛 まで】
ここから▲7八玉△6二玉▲6五角△7四歩▲同角△7二銀▲5六角△5二金左▲3六歩△5四歩▲6六歩△5五角と進んだ。
図でいきなり▲6五角も当然考えられるが、羽生王将は▲7八玉△6二玉の交換を入れてから▲6五角を決行した。△2二飛を咎めるなら▲6五角を指す必要があると思う。
ただ本譜は、先手も▲6六歩と△5五角を誘っており、▲6五角のメリットはあまり活きていない気がする。
図は▲7五歩の自然な突き出しに対し、△5二金としたところ。美濃を放棄した手で違和感を感じるが、このかなり前に5二の金を△4三金とした時からの一連の流れなのかもしれない。
いずれにせよ振り飛車党には考えられない斬新な指し方だ。総力を上げての押さえ込みの方針なのだろう。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v玉 ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v銀 ・v金 ・ ・v飛 ・|二
| ・v歩v角v歩 ・v金v桂v歩 ・|三
|v歩 ・ ・ ・v歩v銀v歩 ・v歩|四
| ・ ・ 歩 ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 銀 角 歩 歩 銀 ・ 歩|七
| ・ 玉 金 金 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:歩二
【手数=48 △5二金 まで】
ここから▲7四歩△8二角▲9五歩△同歩▲9四歩△6二玉▲9三歩成△同桂▲9四歩△5五銀▲9三歩成△同香▲3五歩△同歩▲2六飛と進んだ。
端に手を掛けてから▲3五歩△同歩▲2六飛と左辺に飛車を展開するコースをつくるのは好着想で、大差になってしまった。
4勝3敗2千日手で羽生が佐藤を下して王将を防衛した。これで王将位通算10期で規定により永世王将の資格を得た。
羽生の初王将位はかの七冠達成の時。永世または名誉等の特別な称号を得ていないタイトルは名人戦と竜王戦。永世七冠まであと2つとなった。
#一言日記:同時アップの第32期棋王戦第4局でまとめて。
[2007/03/25 21:20]
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