第1局
対羽生戦には結果を出せないものの好調を持続中の佐藤棋聖が渡辺竜王に望む今期竜王戦。竜王戦は最も勢いのある棋士が挑戦者になるので防衛が難しい棋戦かもしれない。尤も勢い挑戦者になったものの舞台の大きさに圧倒されて勢いを活かせないケースもある。しかし今期の挑戦者は白線錬磨の佐藤棋聖、渡辺竜王にとっては厳しい相手と言える。
しかし将棋世界誌で「私は下馬評を裏切るだろう」と語っているように、渡辺竜王は全く萎縮していない。両雄共に最大のパフォーマンスを見せてくれそうだ。
対局から日が経ってしまったので第1局は短めのレビューにする。
サンフランシスコで行われた本局は一手損ではない角換り腰掛け銀となった。下図は2二の金をじっと△3二金と形を整えたところ。
実況では、この手を疑問視していた。
後手:渡辺明竜王
後手の持駒:角 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|三
|v歩 ・v歩 角v銀v銀v歩v歩 ・|四
| ・ 歩 ・v桂 ・v歩 歩 ・v歩|五
| 歩 ・ 歩 銀 銀 ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ 金 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 歩 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:歩三
【手数=64 △3二金 まで】
ここから▲2三歩△同金▲2五歩△同歩▲7三角成△3五銀▲7二馬△5一飛と進んだ。
図の△3二金は本譜の▲2三歩には△同金とするしかなさそうなので一手の価値がないというのが検討陣の見解で、実際この辺りから形勢が傾いたように思う。
じっと▲7三角成から▲7二馬が渡辺明ブログでも認めている好手。
竜王は「馬の働きが弱くなるので盲点になっていた。・△5一飛で飛が使えなくなった」と語っている。
「下馬評通り?」の出だしとなってしまったが、第2局以降も面白い戦いが期待できそうだ。
#一言日記:祝!ドラゴンズセリーグ優勝!!
[2006/10/18 01:00]
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第2局
熱戦だった第2局も渡辺竜王の惜敗に終わった。内容は自身のブログでも「棋士人生最高の熱戦と言っても過言ではない」と述べているように、真に熱戦だった。
後手佐藤棋聖のゴキゲン中飛車に対し、先手渡辺竜王は新丸山ワクチンで対抗、の出だしだが両者趣向を凝らして持久戦に。
図は先手は玉頭位取りの堅陣だが、後手も馬を作るのに成功している。馬の分だけわずかに後手が指せるのではないかと思う。ここで先手に勝負手が出る。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v飛v香|一
| ・v玉v金 ・ ・v金 ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v銀v銀v歩v桂 ・v歩|三
|v歩 ・ ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・|四
| ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・v馬 ・|五
| 歩 ・ 銀 ・ ・ ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 角 金 歩 銀 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:渡辺明竜王
先手の持駒:歩
【手数=62 △5三銀 まで】
ここで先手は▲4七銀と指した。
4七の銀を使わなければ勝機はないための着手だが好判断だったようだ。指されてみると左辺は先手が優位なので後手の馬とバランスが取れており依然難解か。
少し進んで下図。▲6四歩で後手が困っているようだが...。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:金 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・v飛 ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v金 ・v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v銀 ・v歩v桂 ・v歩|三
|v歩 ・ ・ 歩 ・ ・v馬v歩 ・|四
| ・ ・ 歩 ・ 銀 歩 ・ ・ ・|五
| 歩 角 銀v歩 ・ ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 桂 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:渡辺明竜王
先手の持駒:銀
【手数=81 ▲6四歩 まで】
ここで後手は△4五桂。以下▲6六銀△6四銀▲7四歩と進んだ。
ぎりぎりのところで△4五桂が利いた。▲6三歩成は△同金があるので指しきれないらしい。
以下激しい攻め合いの末下図に。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:銀二 歩八
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉 ・ ・ ・ 馬 ・ ・ ・|二
| ・v歩v銀v金 ・v歩 ・ ・v歩|三
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・v馬v歩 ・|四
| ・ ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 桂 ・v圭 ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:渡辺明竜王
先手の持駒:飛 金 歩
【手数=100 △6三同金 まで】
ここで先手は▲7九歩と指した。
この手で竜王は勝ちになったと思ったそうだ。先受けの底歩が現代将棋らしい手で、この手で勝ちになったと感じた渡辺竜王に新しい世代を感じる。
この後も熱戦が続いた。事実先手の勝ち筋があったようだが、最後は指運が勝負を決めたと言ってもよさそうだ。詳しくは、やはり先出の「渡辺明ブログ」をご覧頂くのが最善手だろう。
162手で大熱戦を制した佐藤棋聖の連勝となった。
#一言日記:何年か振りに市の将棋大会に出た。なぜか初戦で大学の大先輩に当たって散った。
[2006/11/05 23:00]
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第3局
2連敗と渡辺竜王にとって苦しいスタートとなった第3戦は矢倉となった。
この将棋は熱戦だったが、大駒よりもスピード優先の局面が多く出現したのが面白かった。大駒の叩き売りの画面が相次いで出現した。
図は3五の地点で銀交換が行われた局面。
後手:渡辺明竜王
後手の持駒:銀 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v飛 ・v角v金v玉 ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・v金 ・v歩v歩|三
| ・v歩v銀 ・v歩v歩 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 角 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:銀 歩
【手数=53 ▲3五同角 まで】
ここから▲同角△2七銀▲3九飛△2八銀不成▲2五桂△3七歩成▲4六角と進んだ。
△3七歩成に飛車取り放置の▲4六角が強手。3三の地点に駒を打ち込む筋があり、後手も銀を投資しているので飛車を取られても局面の均衡は保たれている。それにしても矢倉は激しい、とつくづく思う。
飛車を犠牲に先攻の権利を得た先手のぎりぎりの攻めが続いている。▲4四銀成に△4一飛としたところ。
後手:渡辺明竜王
後手の持駒:桂 香 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| 馬v桂 ・ ・ ・v飛 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩v歩|三
| ・v歩v銀 ・v歩 全 ・v角 ・|四
| ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 桂 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・vとv飛v銀 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:金 歩
【手数=78 △4一飛 まで】
ここから▲2八馬△同飛成▲3三銀と進んだ。
先手は▲2八馬として、一瞬だが遂に大駒は4枚とも後手のものとなった。そして▲3三銀のブチコミ。単純で執拗な攻めだが、細い。手に汗握る、ギリギリの攻防が続く。
進んで下図。後手玉は風前の灯火にも思える。凌ぐことは出来るのか?
後手:渡辺明竜王
後手の持駒:角二 銀二 桂二 香 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・v桂 ・ ・ ・ ・v玉 ・v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・ 金 ・v歩v歩|三
| ・v歩v銀 ・v歩 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 金 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩|六
| 歩 歩 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 金 ・ ・ ・v龍 ・|八
| 香 桂 ・ ・vと ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:飛 歩
【手数=99 ▲4三同金 まで】
ここから△2一角▲3四飛△4一玉▲4二歩△5一玉▲3一飛成△6二玉▲2一龍△6九銀と進んだ。
後手は△2一角と受けた。本譜の順で打った角は取られてしまったが、下段に追い込まれた玉の脱出に成功した。
そして先手の攻めをひたすら耐えていた後手だがようやく△6九銀と反撃を開始した。
この後も難解な攻防が続いたが、後手玉は9四の地点まで逃げ切って先手玉を逆襲、142手で渡辺竜王の勝利となった。
矢倉戦特有のぎりぎりの攻防を堪能できた一局となった。
渡辺竜王がようやく1勝を返して、いよいよ面白くなって来た。
#一言日記:年明け早々の異動が決まった。ちょっと放心状態。
[2006/11/19 00:30]
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第4局
第4局は再度後手番佐藤棋聖のゴキゲン中飛車に。9筋の歩を突き越し、更に自ら角交換をするといった、佐藤らしい序盤だったが、さすがに駒組の立ち後れを咎められた。これも佐藤の作戦の範疇なのか?
図は△4八玉としたところ。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金 ・v金 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v玉v飛 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩 ・v歩v銀v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 銀 玉 ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:渡辺明竜王
先手の持駒:角
【手数=18 △6二玉 まで】
ここから▲3五歩△同歩▲5六角△3二金▲8三角成
▲3五歩は当然の反撃で先手は馬を作ることに成功した。
序盤早々馬ができて、先手優勢と即断してしまうのだが、佐藤にしてみればそれほど悪くした訳ではない、ということなのだろう。
個人的には先手の楽勝ペースと思ったのだが、渡辺竜王も、それほど良くなった訳ではない、と思っていたらしく慎重な駒組が続いた。
図で先手が手を封じた。先手は穴熊に組み換えている。どんな戦型からもより優位を求めて穴熊を目指すのは今や常識だ。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:角 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二
| ・v銀v桂v金 ・ ・v銀v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・ ・|四
|v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ 歩 銀 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 金 歩 馬 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:渡辺明竜王
先手の持駒:歩
【手数=52 △5五歩 まで】
封じ手は▲3八飛。以下△3二飛▲2八飛△3一飛と進んだ。
▲3八飛は意味不明の手だった。△3二飛に▲2八飛。これでは千日手模様だ。やや優勢と感じている先手がこんなところで千日手含みを指す意味が分からなかったが、「囲碁将棋ジャーナル」の藤井九段の解説で、疑問が氷解した。
▲3八飛に△3二飛は1セット。ここで▲2八飛と戻せば、一晩掛けて上の図の局面を考えることができるという訳だ。2日制タイトル戦ならではのテクニックと言える。
ただし▲2八飛に△2二飛ではなく△3一飛と指された時は「しまった▲3八飛をとがめられた」と思ったそうだ。
図は終盤。次の手が決め手になった。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:歩六
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・ ・ ・ 龍 ・|二
| ・v銀 ・ ・ ・ ・v桂 ・v歩|三
| ・ 銀v金 ・ ・ ・v飛 ・ ・|四
|v歩 ・ 金 ・v歩v歩 ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・v歩v角 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・v圭 ・ ・ ・ 歩|七
| 香 銀 金 歩v馬 ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:渡辺明竜王
先手の持駒:金 歩
【手数=90 △7四同金 まで】
ここから▲8一金△同玉▲8三銀成と進んだ。
▲8一金が鋭い手だった。取るしかないが▲8三銀成で後手玉は寄っている。
97手で渡辺竜王が勝って2−2のタイに戻した。
佐藤優位と思っていた竜王戦だが、こうなるとどうなるか全く分からなくなった。
#一言日記:風邪でダウン。完治するのに1週間位かかってしまうのは年のせい?
[2006/12/03 00:20]
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第5局
形勢は拮抗しているものの、中盤の辺りは攻めている佐藤棋聖がそのまま押し切るだろうと思っていた。
第1局に続いて第5局も先手に追従した形で角換り腰掛け銀になった。
図は互いに飛車で先手が5五の地点で銀を後手が6四の地点で金を取り合ったところ。自陣は堅くてしかも攻めている。先手ペースということは間違いなさそうだ。
後手:渡辺明竜王
後手の持駒:角 金 銀 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ 角 ・v銀v玉 ・ ・ ・|二
|v桂 ・v歩 ・v歩v金 ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・v歩 ・v歩 飛v歩v歩v桂v歩|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩 ・ 香|七
| ・ 玉 金 金 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:銀 歩
【手数=72 △6四飛 まで】
ここから▲5九飛△4六歩▲4五角成△4七歩成▲5五馬と進んだ。
いったん▲5九飛と引いたのは後手に思わしい手がないという判断だったと思う。事実手を渡された後手は困った。しかし、消去法的に選択された△4六歩が強烈な勝負手だった。
▲4五角成と手厚く馬を作った手に対し、悠然と△4七歩成。この手しかないと判断した渡辺の勝負感は凄かった。
少し進んで下図。先手がもう一度飛車を捌いた局面だ。ここでも渡辺は勝負手を放つ。
後手:渡辺明竜王
後手の持駒:角二 金 銀 歩四
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 杏|一
| ・ ・ ・ ・v銀v玉 ・ ・ ・|二
|v桂 ・v歩 ・v歩 ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・|四
| ・v歩 ・v歩 飛 ・v歩v桂 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 銀 歩 ・vと 歩 ・ ・|七
| ・ 玉 金 金 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:金 銀 香 歩
【手数=85 ▲5五同飛 まで】
ここから△8六歩▲3五飛△3四銀▲6五飛△5七とと進んだ。
ここでの△8六歩がタイミング的にも絶妙だった様だ。先手佐藤は強気に手抜きで攻めたが先ほど作ったと金を捨てて8筋の拠点を手がかりに攻める展開となった。
実際はまだ先手優勢だったようだが、渡辺竜王の老獪な差し回して逆転勝ちを収めた。
2連敗と苦しいスタートだったが3連勝してみると完全に渡辺竜王のペースになった感じもする。
詳細は『渡辺明ブログ』をご参照下さい。
#一言日記:週末借りてきた「ブレイブストーリー」と「MI3」のDVDを鑑賞した。「ブレイブ」は宮部みゆき原作なので安心して楽しめた。「MI3」はイマイチ。オープニングがストーリーのクライマックスの一つで、どのようにそこに到達し、その後どうなるのかを期待させる、という手法が取られているが、そこがイマイチなのが辛いところだ。それより地上波で見た「ラストサムライ」が一番良かった。
[2006/12/11 00:40]
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第6局
佐藤棋聖の貫禄の2連勝で始まった今期竜王戦だが、渡辺竜王が3連勝し「下馬評を裏切る」追い上げを見せ防衛にリーチを掛けた。
第6局は追い込まれた佐藤が二手目△3二金を放った。居飛車党の渡辺だが、これを見て5筋位取り中飛車に。
互いに穴熊に組み換えて、駒組での優位を図る展開になったが、後手佐藤が果敢に仕掛けた。
図は△8六歩▲同歩と突き捨てたところ。▲同歩は封じ手。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
| ・ ・ ・ ・v銀v金v金v銀v香|二
| ・ ・v桂 ・v歩 ・v角v歩v歩|三
|v歩v飛v歩v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|五
| ・ 歩 歩 歩 銀 歩 銀 ・ ・|六
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 歩|七
| ・ ・ 飛 ・ ・ ・ 金 金 香|八
| 香 桂 ・ ・ 角 ・ ・ 桂 玉|九
+---------------------------+
先手:渡辺明竜王
先手の持駒:歩
【手数=51 ▲8六同歩 まで】
ここから△4三銀▲8八飛△7五歩▲同歩△6五歩▲同歩△5四歩と進んだ。
△4三銀は突き捨ててから固めるいかにもプロらしい手だ。▲8八飛は角筋に入って怖いが歩得を主張し受けに徹する決断の手だ。
以下7〜5筋を突き捨てて堅陣を活かした後手の猛攻が始まった。
ここでの形勢判断だが、個人的には後手の攻めはやや無理と見ていた。5筋の位は先手が張っているし、7三の桂を働かせなければ良い。
図は5五の銀を▲6五銀とかわしたところ。7三の桂が働く形になっており、ここでは後手が良さそうだ。ここまでに至る手順に問題がなかったのかが疑問に残る。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v飛 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
| ・ ・ ・ ・ ・v金v金v銀v香|二
| ・ ・ ・ ・ ・v銀v角v歩v歩|三
|v歩 ・ ・ 銀v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・ 歩 歩v桂 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ 角 ・ 歩 銀 ・ ・|六
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩 歩|七
| ・ 飛 ・ ・ ・ ・ 金 金 香|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 玉|九
+---------------------------+
先手:渡辺明竜王
先手の持駒:歩四
【手数=67 ▲6四銀 まで】
ここから△3五歩▲同銀△3四歩▲2六銀と進んだ。
△3五歩が3六の銀の働きを殺した好手。▲2六銀なったところでは、竜王ブログでも「どうしようもない形勢になってしまいました。▲2六銀が働く余地がないので以下はダメです」と語っているように、急激に形勢が傾いてしまった。
渡辺にとってみれば不本意な出来になってしまったが、不慣れな振り飛車ということで敗戦のショックはあまりないと思われる。
ともあれ勝負は最終局に持ち越しになった。
#一言日記:バンダイから「宇宙戦艦ヤマト」の1/350プラモデルが発売されるが。欲しいけど高すぎて買えない。プロモーションビデオが笑えた。
[2006/12/17 01:00]
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第7局
最終戦である。絶好調佐藤棋聖の2連勝スタートで、早くも佐藤奪取の雰囲気になっていたが、渡辺竜王も踏ん張った。
後手になった佐藤は前局に続き本局でも2手目△3二金を採用。振り飛車で落とし渡辺は本局では矢倉を目指す。一見挑発しているように見える△3二金だが、「ただの挑発ではない」ということらしい。詳しくは竜王ブログを参照されたい。
という訳で最終戦らしく矢倉の将棋になった。図は8四の銀を△7三銀と引いたところ。ここで封じ手となった。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:角 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
| ・ ・v銀 ・ ・v金v銀v歩v歩|三
|v歩 ・ ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 銀 ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:渡辺明竜王
先手の持駒:角 歩
【手数=52 △7三銀 まで】
封じ手は、▲5七銀。以下、△9五歩▲4六歩△6二銀▲4五歩△同歩▲3七桂と進んだ。
▲5七銀の意味はこの手だけ見るとよく分からないが、▲4五歩△同歩と突き捨てて▲3七桂まで進めばなんとなく納得。完全に先手が先攻する展開となった。
後手としては千日手のクリンチを狙いながら耐えるしかない展開になってきた。
図は▲6四歩と垂らしたところ。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:歩四
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v銀v金v玉 ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ 歩v歩v銀 歩 歩 ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ 桂 ・v馬 歩|五
| ・ 銀 歩v歩 歩 銀 ・ ・ 飛|六
| 歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 金 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:渡辺明竜王
先手の持駒:角 歩二
【手数=99 ▲6四歩 まで】
ここから△2四馬▲6三歩成△3四馬▲3五歩△1六馬▲同香△8六飛と進んだ。
後手ほぼ無条件でと金を作られたが、佐藤らしい切り込みを見せる。△1六馬と飛馬交換(ここまではまああるかも知れない)からさらに過激に△8六飛と飛車を切ったのだ。
と金を作らせて、押させている飛車と馬を交換、更に飛車を切るという、佐藤らしい切り返しだが、さすがにやり過ぎだったと思う。
150手で渡辺が佐藤を下して、竜王位を防衛した。
去年の初防戦は木村八段ということで、失礼ながら羽生世代ではなく、今年の佐藤棋聖を退けてこそ、名実共に本物の竜王と言えると思っていた。
正直、絶好調の佐藤棋聖相手では厳しいと思っていたが、見事「下馬評を裏切って」くれた。
渡辺竜王にとっては今年大きな壁を乗り越えた年になったのではないだろうか。
#一言日記:長男のクリスマスプレゼントは彼が欲しいと行っていた「天体望遠鏡」。喜んでくれるかな?
[2006/12/24 01:30]
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