第74期棋聖戦レポート

第1局

羽生に王将位を奪われ一冠のみとなった佐藤棋聖に、これまた名人位失冠後ようやく手にした棋王位を有する丸山棋王が挑戦する今期棋聖戦。棋聖vs棋王の対決となった。
佐藤棋聖は相手の得意戦法を堂々受けるタイプなので、中座飛車と角換りのシリーズになると思われる。

第1局は佐藤棋聖の先手ではやり中座飛車となった。
先手は最近よく見かける3五歩を取らせる作戦を採用した。△3五同飛▲3三角成 △同 桂▲4六角までが下図。

後手:丸山忠久棋王
後手の持駒:角 歩三 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・v金v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 ・ ・v歩v歩v歩v桂 ・v歩|三
| ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ 角 ・ 飛 ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ 玉 ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:歩二 
【手数=33 ▲4六角打 まで】

ここから、△2五歩▲1六飛△3四飛▲3五歩△4四飛▲9一角成△7三桂▲7七桂と進んだ。
香は取られるが手順に右桂を跳ねて涼しい顔をするのが定跡手順だが、後手が駒損なので、個人的にはどうも違和感を感じる。本譜の▲7七桂位で先手を持ちたい気がするけどなあ。

局面は形勢不明のまま進んで下図。

後手:丸山忠久棋王
後手の持駒:角 香 歩 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ 龍 ・v香v金v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 ・ 圭 ・v銀v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・v桂 ・ 飛 歩 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 桂v歩 ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 金 銀 玉 ・ 銀 ・ ・|八
|v馬 ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:歩二 
【手数=68 △6一香打 まで】

ここから▲6五飛!△同 歩▲6三桂と進んだ。
▲6五飛!
なんと飛車を切ってしまった。詳しいことは良く分からないが(^_^;)、この勢いが勝利の女神を微笑ませたのは間違いないのではないだろうか。

115手で佐藤の勝ち。防衛に向けて幸先の良いスタートを切った。

#一言日記:明日は社団戦。性懲りもなく、また黒星を重ねに行くか。
[2003/06/07 23:30]
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第2局

第2局は後手佐藤棋聖がゴキゲン中飛車を採用した。角交換から左美濃に組んだのが丸山棋王の工夫と思われる。
持久戦になって、千日手が懸念されたが、▲4五歩と丸山が仕掛けた。少し進んで、2筋を突き捨てて▲3五歩としたのが下図。

後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:角 桂 歩二 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v香|一
| ・ ・v玉v金v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂v銀 ・ ・ ・ ・ ・|三
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・v銀 歩 ・ ・|五
| 歩 歩 歩 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|六
| ・ ・ 桂 金 ・ 銀 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ 金 ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久棋王
先手の持駒:角 
【手数=53 ▲3五歩 まで】

ここから、△8三桂▲8五歩△同 桂▲同 桂△同 歩▲3三角△8四桂と進んだ。
桂馬がポンポン飛び交う将棋となった。△8四桂は敵の打ちたい所へ...の格言通りの攻防手。

後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:角二 銀二 桂 歩三 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・v桂v玉v銀 金 ・ ・ ・ ・|三
| ・v桂v歩v歩v歩 ・v歩v歩v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・v飛 歩 ・ ・|五
|v歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|六
| ・ ・ 銀 金 ・vと ・ ・ ・|七
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 玉 ・ 金 ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久棋王
先手の持駒:桂 
【手数=79 ▲6二金打 まで】

ここから△7二銀▲2四飛△8七銀▲2二飛成△7八角まで、84手で佐藤棋聖の勝ちとなった。
△7二銀が攻めを遅らせる好手だったようだ。▲2二飛成と飛車を成ったのは形作り。△7八角以下、先手玉は即詰みだ。先の桂馬がよく利いていることが分かる。

#一言日記:会社がなくなる...。
[2003/06/20 01:50]
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第3局

第3局も中座飛車。丸山が名人位を防衛した、第59期名人戦第7局(谷川●−○丸山)と同様に進んで下図。
名人戦の谷川九段はここで▲3三桂打として、△5二玉▲2一桂成△2五歩▲2七飛△5五馬▲2五飛と進んだ。この難解な将棋を制して名人位を防衛した丸山九段だが、はたして2匹めのドジョウはいるか?

後手:丸山忠久棋王
後手の持駒:香 歩三 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v金v玉v銀 ・v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金 ・ ・|二
|v歩 角v桂v歩v歩v歩 ・ 歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・v歩 ・ ・ 桂 ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ 歩 飛 ・|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 金 玉 金 ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ ・v馬|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:桂 歩 
【手数=46 △3一銀 まで】

本局はここから▲3五歩として、名人戦と分かれを告げた。
名人戦では先手が勝っているが、丸山九段は当事者なので、後手を持っているということは何か秘策があったはず。それを見たかった気もするが、手を変えたのは先手の佐藤棋聖だった。こちらも暖めていた手なのでろうか?

下図は終盤の入り口あたり。後手の8筋の継ぎ歩攻めを凌いて先手に手番が回って来た。ここでは先手優勢と思う。

後手:丸山忠久棋王
後手の持駒:角 歩三 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・v香 ・v金 ・ ・v歩v香|一
| ・ ・ ・v銀v玉v銀v金 ・ ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・ 歩v歩|三
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|四
| ・v桂 歩 ・v歩 桂 ・ ・ ・|五
| ・v歩 金 歩 ・ ・ 銀 ・ ・|六
| 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|七
| ・ 銀 ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:角 桂 歩二 
【手数=78 △5五同歩 まで】

ここから▲2二歩成△同 金▲3三歩成△同 銀▲5三歩△6一玉▲3三桂成△同 金▲2一飛成△4六桂▲9五角まで。89手で先手の勝ちとなった。
2筋の歩を成り捨てた効果で飛車を成ることが出来た。2筋に底歩を打っている関係で、▲2八歩と叩けないのが痛かった。また7一の香も日の目を見ることはなかった。

佐藤は棋聖位を3連勝で初防衛した。

#一言日記:6月30日、14年勤めた会社が、関連会社の統廃合で消失した。といっても業務も組織も変わらないので実感が湧かないというのが正直なところだ。
[2003/07/01 01:20]
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