第1局1日目
いよいよ名人戦が始まった。今期は谷川九段が挑戦者ということもあって注目度が高そうだ。受けて立つ丸山名人も今期は名人位の重圧か以前の驚異的な勝率は維持してないものの早指し選手権で優勝するなど、名人戦にターゲットを合わせ調子は万全の様だ。
戦型は丸山名人は名人位奪取の原動力となった2戦法、すなわち先手番の角換り後手番の8五飛戦法を徹底してきそう。谷川九段も角換りを得意としているが、後手番ではやはり8五飛や四間飛車を採用してきそうなので、結果角換りは登場しないかもしれない。
丸山名人先手となった第一局、谷川九段は四間飛車を採用た。やはり角換りにはならなかった。
図が封じ手の局面。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v玉 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二
| ・ ・v桂v金v歩v銀v角v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩 ・v歩v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 桂 金 ・ 歩 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 玉 銀 ・ 銀 ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:なし
【手数=39 ▲9六歩 まで】
後手の藤井システムに対し先手丸山名人は西田スペシャル模様の構え。先手の工夫は早めに▲7七角〜6八角として後手の△2二飛を強要したことが挙げられる。一方▲9六歩の一手前、7一の玉を△8一玉としたのが後手の工夫と言える。
封じ手は△5四歩か△5四銀しかないが、作戦の分岐点なので難しいところだ。△8一玉が後の戦いにどう影響してくるかに注目したい。
[2001/04/13 01:30]
第1局2日目
封じ手は△8三銀だった。一見△8一玉との関連が薄そうなので予想しにくい手だったと思う。
2日目は時折会社からネット実況を見ていたが、固め合いの模様を呈してきた。こうなると振り飛車の主張するところがなくなり、作戦負けになりかねない。一方先手は玉の固さは互角以上で且つ仕掛けの権利を有する展開が望める。
谷川九段の棋風には馴染めない展開になってきたが、飽和状態で光速流が仕掛けた。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・v銀 ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v金 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
| ・v銀v桂v金 ・ ・v角v歩 ・|三
|v歩v歩v歩v歩v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩v歩|五
| 歩 歩 歩 歩 歩 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ ・ 桂 金 ・ ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 金 角 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 玉 銀 ・ ・ 飛 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:なし
【手数=58 △1五歩 まで】
図から▲同 歩△同 香▲3五歩△1二飛▲3四歩△2二角▲4五歩△1三角▲2四歩△同 角▲4四歩△1九香成▲4三歩成
後手が仕掛けるとしたら端しかないが、△1二飛と端に回った飛車が6八の角の利きで▲1三歩と叩く筋があるのでうまく行かない。と思ったら66手目△1三角が凄い手だった。この瞬間だったら▲1五香△6八角成▲1二香成△6七馬▲同金△5八銀がある。
この手で後手はうまく端を破って香車得。要所にと金を作られたものの主張するところのある展開になった。
しかしやはりと金は大きく、飛車を封じ込めらながらも右桂を捌く丸山名人の判断が良く、先手有利の様だ。攻め合いに活路を見い出そうとする谷川だがうまく余して丸山名人が勝利した。
これでなんと今期4連敗だそうだ。谷川の無冠は似合わない。個人的には是非とも奪取してほしいのだが、調子を取り戻さないと難しいかもしれない。
[2001/04/15 01:00]
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第2局
丸山名人が後手の第2局は予想通り横歩取りの後手8五飛車になった。名人位奪取の原動力となった名人得意の戦法だ。
この手の将棋は指さないので私にはちんぷんかんぷんなのだがどうやら最新の定跡形らしく、前例もあるようだ。2日目の昼になっても定跡を踏襲していたというから驚きだ。
今回は個人的に理解不能の序盤には触れず終盤の局面をハイライトとして紹介する。
後手:丸山忠久名人
後手の持駒:銀 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 飛 ・ ・v金 ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v銀v玉 ・ ・ ・ ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・v歩v龍 ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・ ・|四
| ・ ・v金 ・ ・ 角 ・v歩 ・|五
| ・ ・v桂 歩 ・ 歩 ・v桂 ・|六
| 歩 歩v圭 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司九段
先手の持駒:角 金二 銀二 桂 歩四
【手数=86 △7七同桂成 まで】
先手玉は詰めろ。ここからの収束はさすが谷川九段だと思った。
▲6四桂△同 歩▲6三銀△同 玉▲7二角までで丸山名人投了。まるで実戦詰め将棋のようだ。
これで1ー1のタイになった。本局は丸山名人得意の8五飛戦法に谷川九段が勝ったのが大きいと思う。谷川を応援する私の第3局以降の希望的観測。第3局で手番を入れ替えて再び8五飛が登場して、谷川連勝。こうなると谷川九段の名人復位が濃厚になるのではないだろうか。
第3局以降もカギを握るであろう8五飛車戦法は本家中座四段著の「横歩取り△8五飛車戦法」が良書と評判だが私は振り飛車専門なので持っていない。名人戦を堪能するためには必須の本なのかもしれない(でも買わない)。
[2001/04/28 01:00]
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第3局1日目
谷川九段が後手番の第3局は後手の戦法に注目していた。8五飛車戦法を使うのかそれとも四間飛車か。第1局に続いて四間飛車を採用すれば谷川九段の現時点での8五飛車戦法に対する評価はあまり高くないと言える。もっとも丸山名人が先後どちらでも8五飛車戦法で高い勝率を挙げているので避ける意味もあるとは思うが。
果たして本局は四間飛車を採用した。先手はトーチカ(西田スペシャル)、第一局の再来だ。図で一日目終了。名人が手を封じた。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v金 ・ ・ ・ ・v飛 ・|二
| ・v銀v桂v金v歩 ・v角v歩 ・|三
| ・v歩v歩v歩v銀 ・v歩 ・v歩|四
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| 歩 ・ 桂 金 角 歩 桂 ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 玉 銀 ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:なし
【手数=52 △3三角 まで】
この局面に至る3手前に先手は▲2六飛と指している。以下△4四角▲2九飛△3三角で図になったのだが...。
もしかして封じ手は▲2六飛?
以下△4四角▲2九飛△3三角(以下同文)で、千日手になったりして。
[2001/05/09 02:50]
第3局2日目
やはり千日手になった(▲2六飛ではなく▲2八飛だったけど)。私見だが、居飛車党で後手四間飛車を指す棋士は千日手によって先手番を得るという狙いが視野に入っているのだと思う。封じ手の局面の後手四間飛車は最善形で四間飛車から仕掛ける手段なし。したがって後手は千日手歓迎だろう。
一方の丸山名人も手を封じる時に既に千日手と決めていたのだろう。先手番なのに仕掛けが難しいと判断すれば躊躇せず千日手にするあたりに丸山名人のしたたかさを感じる。
後手番になれば、十八番の8五飛車があることも千日手にした判断材料にはいっているのだろう。
ところが千日手指し直し局で後手番の名人は谷川九段の得意戦法の角換りを受けて角換り棒銀を採用した。これには驚いた。丸山名人といえば先手番角換り、後手番8五飛車の2戦法に徹底していて、このスペシャリストぶりが強さの秘訣だったはず。8五飛車戦法に対する先手の対策が進歩したということだろうか?
後手:丸山忠久名人
後手の持駒:桂
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v金v金v玉 ・|二
| ・ ・ ・ ・v歩 銀 ・v歩v歩|三
|v歩v銀 ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ 角 ・ 歩 歩 ・|五
| 歩 ・ 銀 歩 ・ ・v角 ・ ・|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩vと ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 金 金 ・ ・vと ・ ・|八
| 香 桂 玉 飛 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司九段
先手の持駒:歩二
【手数=67 ▲5五角打 まで】
序盤のポイントは分からないので中盤のポイントと思われる局面に注目してみる。
図は△3六角に対し▲5五角と角を打ち合ったところ。▲5五角はいかにも光速流らしい手だ。
以下、△1二玉▲4二銀成△同 金▲2二金△同 玉▲4三歩成。
△1二玉は角道を避けた手だが4二の地点で精算した後の▲2二金と放り込む手があった。取る一手に▲4三歩成の空き王手が痛烈だ(実際にはまだ難しいらしい)。
△1二玉では△6三桂と一旦受けに回る手も有力だった。
△6三桂以下▲3二銀成△同金▲6四角△7三銀▲5三角成△4二銀▲6三馬△5八と。
これはどっちが優勢か分からない。
また図の▲5五角を嫌うなら△3六角では△4六角もあったかもしれない。
本譜は▲4三歩成に△3三銀としたのが悪く寄ってしまった。
これで1−2となった。一つ谷川九段がリードしたわけだが俄然谷川有利になった感じがする。本局の丸山名人の意図するところは何だったのだろうか。わざわざ千日手にして後手番になって出るか8五飛車、と思いきや谷川の得意形を受けてたつというのは支離滅裂だ、というのは言い過ぎか。
丸山名人はスペシャリストを貫くしか道はないのではないだろうか。
[2001/05/10 01:30]
第3局追記
「△6三桂以下▲3二銀成△同金▲6四角△7三銀▲5三角成△4二銀▲6三馬△5八と。」とあるが6三には角がきいているのでない手ですね。
[2001/05/19 00:15]
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第4局1日目
第3局が千日手指し直しで谷川先手になったので、規定(よく知らないけど)により第4局は丸山先手とあいなった。
互いに角換りを得意にしていながら、相手が後手番だと8五飛や振り飛車にしてなかなか角換りにならない。千日手指し直し局では丸山名人が谷川得意の角換りを受けて立つという意外な展開になったが、これは「第3局では角換りを受けたのだから、第4局は自分の角換りも受けて立ってみろ!」という挑発だったりして...。
さて本局、後手谷川は四間飛車を採用した。角換りにならなかったのはさておき、8五飛を採用しなかったのは興味深い。
図が封じ手の局面だ。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v金 ・v飛 ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩 ・v銀v角v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四
|v歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 ・ ・ ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:なし
【手数=30 △5四歩 まで】
藤井システムの登場でなかなか容易には居飛穴に組めなくなって久しいが、居飛車側も工夫が見られるようになった。本局の丸山名人は早めに▲3六歩として△6二玉と指させてから▲7七角とする手順を採用した。この指し方に対しては△3二飛として捌きを狙うのが常套手段。
さらに▲5五歩としたのが工夫した点と言える。図に至る手順は△3二飛▲5五歩▲9九玉△5四歩。穴に潜った瞬間に後手が5筋からちょっかいを出した。
振り飛車党の私としては5五歩や3六歩が藤井システムを警戒しつつ居飛穴に組むための工夫とは言え、ちぐはぐな感じは否めない。
封じ手は▲5四歩だけはなさそうだ。
2日目は土曜なのでちょっと大盤解説でものぞきにいこうかな、と思っていたが休出になってしまった。早めにエスケープ出来たら新宿でも行こうかな。
[2001/05/19 00:50]
第4局2日目
封じ手は▲5六銀。以下△5五歩▲同 銀△5四歩▲6六銀△4二角▲6八角△6四角と進んだ。
狙い筋である△6四角を直ちに決行した訳だが、ちょっと動き過ぎのきらいもある。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:飛 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ 飛v香|一
| ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩 ・v銀 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
|v歩 ・ ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 銀v歩v角 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七
| 香 ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:桂 歩
【手数=65 ▲6五角打 まで】
大駒を捌きあって図となった。振り飛車は先に桂馬をとられてかつ飛車打を先着されているが、穴熊が未完成で4六の角が好所なのでいい勝負か?
しかし▲6五角が速い手だった。
図以下、△9六歩▲同 歩△9七歩▲同 香△6四歩▲4三角成△同 金▲6三桂。
9筋を突き捨てたのは筋。角を斬るのも勢いだろう。そして最後の▲6三桂が気付きにくい手だった。
さらに△6二角▲5二歩△4九飛▲7八銀。
△6二角はほとんど唯一の受け。▲5二歩は確実な攻めだが、足が遅い。この機をとらえて△4九飛だが、▲7八銀が薄氷の受けだった。△6九飛成や△7九角成等の無茶苦茶恐い手が眼に付くがギリギリ受かっているらしい(ホントか?)。
BSの佐藤康光九段の解説によると▲6三桂より▲1一飛成の方が本手だったらしいが、本譜の受けの方が丸山名人らしい気がする。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:金 銀 香
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・v桂 ・v金 と ・ ・ 飛v香|一
| ・v玉v銀v角 ・ ・ ・ ・ ・|二
|v歩v歩v歩 桂 ・v金 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 香 ・ 歩 銀v歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 桂 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七
| 玉 銀 ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 飛 ・ ・v馬 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:歩四
【手数=95 ▲9九飛打 まで】
図は投了図。▲9九飛はいかにも丸山名人らしい手だ。また穴熊の遠い玉、いわゆる「ゼ」の形を強烈に感じさせる投了図だ。
気になるのは投了図の後手陣形だ。後手の明白な手負け。若手四間飛車のスペシャリストと比べて谷川四間飛車はちょっと見劣りする。←問題発言ですね。でも本局をみてそう感じました。
大盤解説に出向くことは仕事で断念。
[2001/05/20 00:50]
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第5局1日目
後手番の丸山名人の作戦が注目されたが、角換り腰掛け銀になった。これは第3局(指し直し局)に引き続き名人が谷川九段得意の角換りを受けて立ったということで興味深い。裏を返せば8五飛では
活路を見出せないという考えが少なからずあるのだろう。これは後手番で四間飛車を採用している谷川も同様。
後手:丸山忠久名人
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v歩 ・v歩v金v銀v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司九段
先手の持駒:角
【手数=38 △4三金右 まで】
1日目は図まで進んだ。名人も角換りを受けて立つには何か策があるはずなのでその辺りが見どころか。
[2001/06/01 00:30]
訂正:1日目の図が38手目までの図を載せてしまいました。正しくは39手目までで40手目が封じ手。下図でした。
後手:丸山忠久名人
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v歩 ・v歩v金v銀v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 歩 歩 歩 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司九段
先手の持駒:角
【手数=39 ▲8八玉 まで】
[2001/06/02 00:30]
第5局2日目
丸山名人の秘策は下図の辺りにあったのではないかと思う。
後手:丸山忠久名人
後手の持駒:角 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v金v金v玉 ・|二
| ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v銀v銀v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・ 桂 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 角 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ 金 飛 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司九段
先手の持駒:歩
【手数=49 ▲3七角打 まで】
図以下△9二飛▲6四角△6三角。
図の▲3七角は先手の狙いの一手。対する△9二飛の先逃げが意味深長な一手だった。先手は▲6四角とありがたく歩をかすめ取るが、そこで△6三角が名人の指したかった手と推測する。
攻めては4五の桂馬を取る狙いと、受けては8一の桂馬を守っている。なかなか魅力的な手だ。だた、次に直ぐ4五の地点を精算すると手番が先手に移るので、ちょっと恐くて踏み込み辛いようだ。
さらに▲6七金右△9五歩▲同歩△9六歩端を攻めた構想はさすがと思った。
しかし、結果として6三角が負担となる展開になったのか99手で谷川の勝ちとなった。
これで谷川が先に3勝になった。丸山先手の第6局では丸山の角換りが見れるのだろうか?
[2001/06/02 00:30]
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第6局1日目
谷川九段の後手番の作戦として巷で最も有力視されていたのは藤井システムと思うが、名人復位にリーチが掛かった本局、遂に横歩を取らせた。横歩取らせの8五飛戦法は後手番にもかかわらず高勝率で注目されている戦法で、谷川九段も得意にしている。しかし最近は8五飛戦法に対する先手の勝率も持ち直して来ているらしい。谷川九段も名人戦の後手番では8五飛ではなく四間飛車を採用していた。さて、横歩取らせ8五飛を採用した心中は如何に?
個人的には丸山名人得意の角換りを受けて立つかな?と思ったのだがこれは外れた。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀 ・v金v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・v角 ・ ・ ・v金v銀 ・|二
| ・ ・v歩 ・v歩v歩v桂 ・v歩|三
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・v飛 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 角 ・ ・ 飛 歩 歩|六
| 歩 ・ 桂 歩 歩 歩 歩 ・ 桂|七
| ・ 銀 金 ・ 玉 銀 金 ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:歩二
【手数=38 △7二角打 まで】
8五飛含みの将棋だが実際には飛車は△8五には引かず△8四に引く将棋になった。封じ手は△7二角と良さそうな角を放った上の局面。
振り飛車党の私にはさっぱりわかりまへん。雰囲気、後手としては満足な局面の気がする。
#将棋世界誌7月号、名人戦第3局の本岡類氏の観戦記「納得いかない」を読んだ。最後の方に『これから先は、僕の想像もしくは妄想である。』の出だしで丸山批判とも取れる文章が書かれている。本岡氏がどんな方かは存じ上げないが、物書きを名乗っている人の文章ではないと思った。取材に基づいた記事ならともかく「想像」や「妄想」で人を批判するのはいかがなものか?
将棋世界誌にしても、この観戦記を採用した意図が分からない。少なくとも今は名人戦を戦っている最中であまりに配慮がなさ過ぎると思う。
今月の将棋世界はこの他にも問題を提起する箇所が多かった。「旬の棋士の熱闘自戦記」では田村康介五段が『今こんなことを書いていいのか分からないが、将棋連盟(将棋界)に対する不満を書かせてもらう。』として永世称号の先生方の優遇のされ方と全日本プロのことを訴えている。また加藤一二三九段も「棒銀一直線」で『その考えに立って、私は千二百勝をしたのを機に、適当な新しい資格を与えてもらえるよう、連盟に提案する考えでいる。』と言っている。
敢えて、掲載してバランスをとっているのかな?
いずれにせよ、将棋村にも構造改革の足音は着実に近付いているようだ。
[2001/06/12 00:30]
第6局2日目
2日目、封じ手は▲4六飛。以下△4二金上▲7五歩△3一玉▲7四歩△同 歩▲9六歩と進んだ。▲7四歩と突き捨ててジッと▲9六歩は渋い。そして遂には9筋を破ってしまった。こうなると微差ながら丸山名人がリードした感じもする。
しかし後手玉は堅く複雑な局面で居飛車音痴な私にはよくわからない。
下図で面白い手が出た。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:銀 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| と ・v銀 ・ ・ ・ ・v玉 ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・v金v金 ・v香|二
| と ・ ・v角v歩v歩v銀 ・v歩|三
| 香 ・ ・v歩v桂v飛 歩 ・ ・|四
| ・ ・ 角 ・ 飛 ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 桂 ・|六
| ・ ・ 銀 歩 歩 歩v歩 歩 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ 玉 ・ 金 ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:桂二 香 歩
【手数=93 ▲4八同玉 まで】
図から△4六桂が不思議な手だった。以下▲同 歩△3六角▲4七香△5四歩▲5六飛△3九銀▲5八玉。
△3六角と出られていっぺんに危なくなった先手陣だが、際どく余して、丸山名人の勝利となった。
私は振り飛車党だが、本局のような横歩取りの将棋は盤面全体の躍動感があって楽しめた。少なくとも駒組で千日手の可能性がちらちらする、居飛車党の後手四間飛車よりは面白いと思った。
これで3ー3。決戦は最終局に持ち越しだ。
ここまで全て先手が勝利してるので第7局の振り駒の行方が気になるところだ。
[2001/06/13 00:20]
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第7局1日目
最終局。ここまでは全局先手が勝利している。こうなると振り駒の結果が気になるが、先後がどちらになろうとも個人的に後手番の方を応援することを決めた。
さて振り駒の結果、後手番は丸山名人に。こうなると伝家の宝刀8五飛の登場は必然と言えそう。やはりこうでなくっちゃ。
後手:丸山忠久名人
後手の持駒:角 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v金v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 角v桂v歩v歩v歩v桂 ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・v歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ 歩 飛 ・|六
| 歩 歩 ・ ・ 歩 ・ 桂 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 玉 ・ ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司九段
先手の持駒:歩二
【手数=39 ▲8三角打 まで】
図から△4五桂▲同 桂△4六角で封じ手に。
△4五桂は思いきった手だ。なるほど先に桂損するが、△4六角の味も良い。後戻り出来ない性質の手だけに暖めていた研究手順かも知れない。
と言うわけで、本局は個人的に丸山名人を応援します。「丸山名人。後手番でブレイクして名人位防衛だ!」
[2001/06/22 00:15]
第7局2日目
夕方定時後、会社からインターネットで状況を確認すると(流石に定時内は気が引けて社外接続は出来ません)61手目▲3五銀の局面だった。ギリギリの攻防が続いているようで、拙い棋力ではどちらが有利かさっぱり分からない。
21:00頃帰宅。
ゲストで山崎まさよしが出演している「誰でもピカソ」を気にしつつ21:30になったのでBS放送にチャンネルを合わせた。下図△6五桂打の局面が映し出された。ここでは丸山名人が指し易い気がする。
後手:丸山忠久名人
後手の持駒:金二 歩七
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v金 ・ ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v銀v玉 ・ ・ と ・|二
|v歩 角v桂v歩v歩 ・ ・ 龍v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|四
| ・ ・v歩v桂 ・ ・ 銀 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・v馬 ・ ・|六
| 歩 歩 金 ・ 玉 銀 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
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先手:谷川浩司九段
先手の持駒:飛 桂 香
【手数=80 △6五桂打 まで】
図の数手前にも△6五桂打が登場しており、本局2度目の△6五桂打だ。
以下▲6六玉△4七馬▲3二飛△4二金打と進んだところで谷川九段が駒を投じた。まだ難しいそうなのでちょっと意外。
BS中継中に終局したので共同インタビューなるものを見ることが出来た。初防衛の丸山名人はちょっと興奮しつつもいつもの無口な口調、負けた谷川九段は敗者なので端切れの悪い対応だ。そりゃ無理もないよ。2日間精魂こめて戦った将棋が、たったいま終局したばかりなのに、「今の感想は?」と聞かれたって簡単に答えられるはずがない。それ以外に聞くことがないという事情もわかるけどこりゃ愚問だな。対局者が気の毒に感じた。
将棋の方は名人戦にふさわしい熱戦だったと思う。△4五桂に始まったギリギリの攻防は2度目の△6五桂打で幕を閉じた。桂馬が主役の名局だった。40手目の△4五桂はインタビューで「勝負手」と言っていた。ずっと先手番が勝っていた本名人戦の最終局で後手番で勝利したことは絶賛に値すると思う。
一方の谷川九段はずっと局面を悲観していた節がある。インタビューでも「あきらめてしまった」と漏らしていた。華麗な光速流が裏目に出た将棋だったと言えるかもしれない。先手番のプレッシャーも相当だったと思われる。この辺り、羽生五冠や藤井竜王のような良い意味での図太さが備われば最強なのだが、それはそれで光速流の魅力が半減しそう。
丸山名人、初防衛おめでとうございます。名人としての風貌なんてきっと後でついてくるさ。
[2001/06/22 23:50]←久々に日付けが変わる前にアップ出来た。
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