第1局1日目
今年も名人戦の季節がやってきた。激辛流丸山名人に挑戦するのは実力者の森内八段。2度目の名人挑戦だ。このカード、渋〜い戦いになりそうだ。華はないけど(失礼)玄人好みの一戦と言える。
森内八段の後手番で1回位は四間飛車を見てみたい、というのは個人的な希望だ。
森内八段の先手で始まった第1局は8五飛戦法になった。下図が封じ手の局面だ。
後手:丸山忠久名人
後手の持駒:角 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・v金v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・v歩v桂 ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・|四
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ 歩v歩 ・|五
| ・ ・v歩 ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ 玉 ・ 金 ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:森内俊之八段
先手の持駒:角 歩二
【手数=38 △2五歩打 まで】
8五飛は丸山名人の十八番なので森内八段に何か対策があるものと思われるが、この将棋は疎いのでよく分からない。右銀が早めに4六に進出したのがそうなのかな?
封じ手は▲3六飛か▲2八飛しかない局面だがどちらもありそう。
#一言日記:最近この行はこればかりだが書かずにいられない。阪神強し!ここまで9勝1敗。
[2002/04/11 01:20]。
第1局2日目
封じ手は▲3六飛。何ごとも起こらないなら▲2八飛よりは良さそうだ。
数手進んで下図に。
後手:丸山忠久名人
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・v金v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・v桂 ・|四
| ・ ・v飛 ・v角 ・ 歩v歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 銀 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 銀 玉 ・ 金 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:森内俊之八段
先手の持駒:角 桂 歩三
【手数=50 △2四桂打 まで】
ここから▲7五歩△3六桂▲6六歩△2九飛▲3六銀△8九飛成▲7九飛と進んだ。
図では▲5六飛もありそうだが森内八段は強く飛車を取り合う順を選んだ。途中の▲6六歩が不思議な手だが好手の様だ。
▲7九飛と合わせた手はいかにも森内八段らしい手と思う。先手には▲7四桂は▲2三歩等の手があり、この辺りを凌げば先手優勢になるという大局観が飛車交換の順を選んだ理由だろう。
実際▲7四桂や▲2三歩が効果的に入って先手が優勢になったようだ。
87手で森内八段の勝ち。名人の十八番、8五飛を制しての先勝は大きい気がする。
#一言日記:8五飛は難しくて棋譜を並べても手の意味が分からないのは困ったものだ。観戦する分には面白い戦型と思う。
[2002/04/12 01:20]
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第2局1日目
角換りと8五飛車戦法と丸山名人の得意な2大戦法で、勝率の高いとされているこの2戦法を軸に勝ち捲っているのは周知であろう。
第1局は丸山名人の8五飛を堂々と受けた挑戦者森内八段。第2局の後手番では角換りを斬りに行った。勝負師としては至極当然の選択で、仮に森内八段がこの将棋に勝てば2−0というスコア以上のアドバンテージを得ることになるだろう。
外野の勝手な希望としては森内八段の後手番での四間飛車を観てみたいのだが叶わないかもしれない。
角換り腰掛銀になった本局は1日目で早くも開戦した。下図が封じ手の局面。1日目に48手まで進んだのはかなりのハイペースだ。
後手:森内俊之八段
後手の持駒:角 銀 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂 ・v歩 ・v銀v歩 ・|三
|v歩 ・v歩 ・ ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・v歩 ・ 桂 ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 歩 歩 金 ・ ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:角 銀 歩
【手数=47 ▲4五桂 まで】
先手の仕掛けはいたってシンプル。3筋の突き捨て等は入れずに▲4五歩だった。
封じ手は△6四角くらいか?
#一言日記:竜王戦倶樂部というのが出来たが、この価格設定は、微妙〜だ。
[2002/04/25 00:20]。
第2局2日目
封じ手は△6四角、以下▲4六歩△4四銀▲6一角△4五銀▲2四歩△同 歩▲5二角成と進んだ。
更に少し進んだ下図は△3七角に▲1八飛と縦に走らずに横に躱したところ。BSの解説によるとこの手はやや消極的との評価だった。
後手:森内俊之八段
後手の持駒:銀 桂 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
|v飛 ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂 ・v歩 ・ ・ ・ ・|三
|v歩 ・v歩 金 ・ ・v歩v歩v歩|四
| ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 金v銀 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 歩 歩 ・v角 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ 飛|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:角 銀
【手数=63 ▲1八飛 まで】
△5七銀成▲同 金△6四角成▲6一角△4二飛▲4三銀△同 金▲5一銀△4一飛▲4三角成△同 飛▲4二金△同 飛▲同銀成△同 玉▲4四飛と進んだ。
派手な応酬が続いたが、△4二飛に対して歩がないのが先手の辛いところ。▲4三銀打って強引に飛車を取りに行って▲4四飛と王手馬取りを掛けた。▲4四飛では▲6二飛とこちらから王手馬を掛けたいところだが、それには△5二桂がある。
ともあれこれで後手玉は丸裸、金駒が一枚も存在しなくなった。ところがここから数手進んだ下図では、なんと金銀4枚を投入して後手陣を再構築してしまった。得に7一の金は▲6四飛と馬を取った手に対し飛成を受けるために打った金だがいかにも森内八段らしい手と言える。
後手:森内俊之八段
後手の持駒:角 金 桂 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・v金 ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v歩 ・ ・v玉 ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂 ・v歩v銀v銀 ・ ・|三
|v歩 ・ 飛 ・v銀 ・v歩v歩v歩|四
| ・ ・ ・v歩 ・v歩 ・ ・ ・|五
| 歩 歩 歩 ・ ・ 角 歩 ・ 歩|六
| ・ ・ 銀 歩 金 ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:歩二
【手数=92 △4五歩打 まで】
図は駒の損得で見ればあまり差がないように見えるが後手勝勢の局面と言っても良いと思う。ここで▲2四角は▲2三歩で困るので▲3七角としたが全く攻め味がなくなったしまった。
終局間近と思われたがここから丸山名人が脅威の粘りを見せる。手番が回ってこれば先手も指せるのでは、と思うくらいに形勢が接近してきた。
後手:森内俊之八段
後手の持駒:角 銀 香 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ とv香|一
| ・ ・v歩 ・ ・v玉 ・ ・ ・|二
|v香v桂v桂v金v歩 ・ ・v銀 ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩|四
|v歩 ・ ・v歩 金v歩 ・ ・ ・|五
| 歩 金 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ 歩|六
| ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・v歩 ・|七
| 玉 ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ 歩 ・v飛 ・v馬|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:金 銀二 桂 歩二
【手数=137 ▲8六同金 まで】
ここから△9七香!▲8八玉△5五馬▲同 飛△4四角▲7七角△6八銀▲4五飛△7七銀不成▲同 桂△5五角打▲6八銀△9九香成▲7八玉△3六飛成と進んだ。
またまた派手な応酬が続いたが、△9七香が手番を渡さない工夫の一手だった。△3六飛成と自玉の制空権を確保して、後手陣は安全になった。
164手で森内八段の勝ち。丸山名人得意の2戦法を撃ち破っての2連勝のスタートとなった。名人防衛に黄信号が灯ったと見る。
#一言日記:もうすぐGW。そろそろ計画を立てなければ。
[2002/04/26 01:10]
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第3局1日目
先手森内八段の▲7六歩ではじまった第3局は再度の横歩取りになった。第1局と違って後手の飛車は8五ではなく8四に引いた。
5筋に飛車を回って戦機を伺う後手に対して先手は力強く金を3七に進めて押さえ込みをはかる転回になった。
封じ手は下図。
後手:丸山忠久名人
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・v金v玉 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 ・v桂v歩 ・v歩v角 ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・v歩 ・v歩 ・ 歩 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 歩|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 金 ・ ・|七
| ・ 角 金 銀 玉 銀 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:森内俊之八段
先手の持駒:歩二
【手数=38 △7五歩 まで】
低い陣形から細い攻めをくり出すのがこの戦法の特徴だが、△7五歩はまさしくこの戦型ならではといった感じの手だ。横歩取らせのスペシャリスト丸山名人の蝶の様な攻めが続きそうな気配が漂っている。実際▲7五同歩は後手の攻めが炸烈しそうで取り難い。
しかし綱渡りの受けを得意とする森内八段のことだから先手の受けの包囲網という気もする。
封じ手は▲4六金かな?
#一言日記:GWにMac OS Xを購入した。同時にHDも30Gを購入してこれを内蔵HDと交換。流行りの流体軸受けは静かで気に入っている。噂には聞いていたがOS Xの実力は...。
[2002/05/09 00:40]
第3局2日目
封じ手は▲7五同歩だった。薄氷と思われる手だが、独特の受けの感覚の森内八段らしいとも言える。
以下、△5六歩▲6六歩△5七歩成▲同銀右△2五歩▲3六飛△5七飛成▲同 玉△4五銀と進んだ。
△5六歩には角道を閉じて防戦する意図だが、丸山名人の攻めはシンプルだった。△5七歩成から飛車を切って△4五銀。途中△2五歩が利く(▲同飛なら△2四飛とぶつける手がある)のが大きい。
少し進んで下図。
後手:丸山忠久名人
後手の持駒:飛 香
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 飛v歩 ・v金v玉 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 ・v桂v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩v歩 ・|五
| ・ ・ ・ 歩v歩 ・ 金 ・ 歩|六
| 歩 歩 桂 玉 ・ 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 角 金 銀 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂v馬|九
+---------------------------+
先手:森内俊之八段
先手の持駒:銀 歩四
【手数=58 △1九角成 まで】
以下、▲3七金△7二香▲5二歩△6一金▲5一銀△同 銀▲同歩成△同 玉▲5四歩△5七歩成▲同 銀△5二歩▲6五桂△7五飛▲8六飛成と進んだ。
▲3七金ではどちらかというと▲3七桂が浮かぶが森内八段が指すといかにも渋い好手に見えてくるから不思議だ。次の△7二香も容易に土俵を割らない丸山名人らしい手。この2手は両者の特徴をよく表している手と思う。
森内八段の薄氷の受けが功を奏したかに見えたがBS放送によると▲5四歩がやや変調だったらしく(▲5三歩が勝った)△5七歩成▲同 銀△5二歩となってみると後手玉に迫る早い手もない。
この辺りからなんだかよく分からない長い中盤戦になってくる。しかし丸山名人が少しずつポイントを稼いで徐々に優勢を築いっていった。
しかししかし将棋は最後まで何が起こるか分からない。事件は下図で起こった。
後手:丸山忠久名人
後手の持駒:金 歩四
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| 龍 ・v歩v金 ・v玉 ・v桂v香|一
| ・ ・ 杏 ・v歩 ・v金v銀 ・|二
|v歩v香 ・v歩 ・v歩v銀 ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・ 桂 ・|四
| 馬 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩v歩 ・|五
| ・ ・ 玉 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六
| 歩 歩 角 銀 ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・v銀 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 ・v龍 ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手:森内俊之八段
先手の持駒:金 桂
【手数=125 ▲7二香成 まで】
ここから△同 金▲7一龍まで先手の勝ち。
△7二同金が痛恨の一手、▲7一龍で頓死だ。歩が入るのが大きく△同金と龍を取ると後手玉は▲4二歩から詰んでしまうのだ。ここでは△7七銀成▲同馬△8五金▲6五玉△3八角▲5六合としてから△7二金と手を戻せば後手の勝ちは動かなかったらしい。
これで森内八段の3連勝。丸山名人は崖っぷちに追い詰められた。
#一言日記:OS XではOS 9環境をクラシックというエミュレータで再現することで互換を保っている。デフォルトのブラウザIEの描画速度が遅い。クラシック上のIEの方が速いというのはどういうこと?
さらにOS XのIEでは将棋倶楽部24のJAVAが動かない。OSの出来としてはそれなりとは思うが、新しもの好きではない人にはとても薦められないと思う。というわけで当面起動ブートはOS 9のままになりそうだ。
[2002/05/10 01:20]
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第4局1日目
個人的に待ち望んでいた森内八段の後手四間飛車、名人戦初登場。藤井九段のガジガジ四間や久保七段の軽い捌きの四間も良いが、渋い棋風の森内八段がこの名人戦というひのき舞台でどんな四間を指すのか注目だ。
先手丸山名人は得意の居飛穴含みの持久戦を選択した。早めに7七角〜8六角として振り飛車の6四歩を突かせない指し方に対して後手は4四銀〜3五銀と左銀を繰り出し▲6八角を強要してようやく△6四歩と指したのが下図だ。
後手:森内俊之八段
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ ・v歩 ・v角v歩v歩|三
|v歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v銀 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 金 銀 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 玉 金 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:なし
【手数=32 △6四歩 まで】
ここから▲5五歩△4四銀▲5六銀△2二飛▲4六歩△4二飛▲4八飛△4六歩▲同 飛△8二玉▲9六歩△6三金と進んだところで先手が手を封じた。
▲5五歩を△同角とするのは▲5六銀△3三角▲3六歩△同銀▲2四飛と銀を殺す順がある。また手順中▲3六歩に△4四銀は▲2四歩で後手が困る。本譜の様に△4四銀として5筋の歩を目標にする方が本筋だろう。
△2二飛は▲2四歩があるので必要な手。▲4六同飛と4筋の歩を切った局面ではどちらも4筋に歩を打ちたくないところで、ここから△8二玉▲9六歩と自陣に手を戻している。どちらの手も指しておきたい手だ。△6三金では△5四歩や△5五銀の決戦策も目に映るが、自重した。
封じ手は▲4八飛しかなさそう。お互いどう動くか(あるいは動かないのか)興味深い局面になってきた。すでに居飛穴に組む将棋ではなくなっているとは思う。
#一言日記:OS Xへの愚痴。Macってコンピュータの仕組みなんて分からなくてもフィーリングで使えてしまうところが売りだと思っていたが、OS Xのファインダーは全くもって物足りない。窓のエクスプローラと大差なし。
[2002/05/17 01:20]
第4局2日目
封じ手は▲4八飛。以下△4五歩▲2四歩△同 歩▲2二歩と進んで下図。
▲4八飛は消去法から考えてもこれしかないところだが△4五歩とされて次の手が難しいと思っていた。後手は5筋の位という明確な目標があるし居飛穴に組ませなかったことで作戦的にも満足だしなにより後手番に気楽さもある。先手がどうするかと思ったらすぐさま▲2四歩と打開してきた。
後手:森内俊之八段
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・v飛 ・ 歩 ・|二
| ・v歩 ・v金v歩 ・v角 ・v歩|三
|v歩 ・v歩v歩 ・v銀v歩v歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・ 歩v歩 ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 金 ・ ・ 歩 ・ 歩|七
| ・ 玉 金 角 ・ 飛 ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:なし
【手数=49 ▲2二歩打 まで】
図から△同 角▲2八飛△5五銀▲2四角△6二飛▲5五銀△同 角▲5六銀と進んだ。
なるほど手を作るなら2筋しかない。▲2二歩に対して△同飛は▲4五銀があるので△同角。こうなると△6二飛までは必然と思うここで▲5五銀は踏み込んだ手だ。▲5六銀は丸山名人らしい手厚い手だが、ここに銀を手放すのでは居飛車やや苦しいか?
さらに数手進んで下図。
後手:森内俊之八段
後手の持駒:角 銀 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v銀v飛 ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・v金v歩 ・v桂 ・v歩|三
|v歩 ・v歩v歩 ・ 歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 金 ・ ・ 歩v歩 歩|七
| ・ 玉 金 ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:角
【手数=63 ▲4四歩打 まで】
角をうまく捌いてさらに銀を手持ちにして、振り飛車贔屓の私にはここでは後手有望に見える。問題は4四歩の垂らしをどうやって受けるかだが、森内八段の答えは明解だった。
図から△2二飛▲4三歩成△2八歩成▲3三と△3八と▲4五飛△2九飛成▲4一飛成と進んだ。
森内八段の選択は△2二飛と飛車を捌き合う順だった。先に桂馬を取られるもののと金が遠のくので良しという大局観だ。
さらにここから局面は一気に中盤〜終盤へと向かう。下図は▲6三香と打ち込んだところ。
後手:森内俊之八段
後手の持駒:銀 桂 香 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ 龍|一
| ・v玉v銀v金 ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩 ・ 香v歩 ・ と ・v歩|三
|v歩 ・v歩v歩 ・ ・v歩v角 ・|四
| ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 金 ・ ・ 歩 ・ 歩|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・vと ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ ・v龍|九
+---------------------------+
先手:丸山忠久名人
先手の持駒:角 歩
【手数=77 ▲6三香打 まで】
図から△8六桂▲5七歩△7八桂成▲同 銀△3三角▲3一龍△7九銀▲7七玉△5五角▲6二香成△6五桂と進んだ。
△8六桂は必殺手でさすがに▲同歩とは取れない。やむを得ない▲5七歩に金を剥がして△3三角。1一の龍取りなので龍を逃げるだけの▲3一龍もやむを得ない。
△7九銀▲7七玉を決めて△5五角と流れるような手が続く。△5五角に▲同銀は△6三金と香車を取られるので▲6二香成もやむを得ない。そして△6五桂が決め手だった。
92手で丸山名人投了。森内新名人の誕生だ。無冠の帝王が初タイトルを手にした。
#やはり森内の四間飛車は絶品だったな〜。
#一言日記:ワールドカップの代表が発表された。そこには中村俊輔の名前はなかった。
[2002/05/17 23:50]
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