第1局1日目
屋敷七段、久々にタイトル戦に参上!
新鮮だが強力な挑戦者の登場だ。
第一局は最近めっきりタイトル戦で表れなくなった矢倉になった。こちらも最近では新鮮な感じがする。ただやはり後手で相矢倉を受けるのは大変なのか後手の羽生は矢倉中飛車に変化した。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v玉 ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v銀v金v角 ・|二
|v歩 ・ ・v銀 ・v歩 ・v歩v歩|三
| ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七
| ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 角 金 玉 ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:屋敷伸之七段
先手の持駒:なし
【手数=21 ▲3五歩 まで】
図から、△5二飛▲3四歩△5五歩▲5七銀△5六歩▲同 金△7三桂▲5八金と進んで羽生が30手目を封じた。
▲3五歩に△同歩とせずに中飛車に振ったのには驚いた。▲3四歩と一歩損で取り込まれても、先手陣が整わないうちに中央から動く狙いだが、早くも序盤の勝負手といった感じがする。
スリリングな将棋になりそうだ。
#一言日記:本局を「矢倉」に分類して良いものか?
[2001/07/18 0:30]
第1局2日目
封じ手は△5四銀。後手の猛攻を先手が受けきれるか、という展開になった。屋敷は形が崩れることや、玉型の薄さなどはあまり気にしないタイプと思うが、この将棋に限っては悪形が祟って一直線に寄せられてしまった。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・v金 ・v玉 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v銀v金 ・ ・|二
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩v歩|三
| ・v歩 ・ ・v銀 ・ 歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩v歩v角 ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 金v銀v角 歩 ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 ・ ・ ・ ・ 歩 歩|七
| ・ ・ ・ 金 ・ 飛 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:屋敷伸之七段
先手の持駒:飛 桂 歩四
【手数=56 △5六角打 まで】
図は後手が△5六角と放った局面。銀桂交換に甘んじながらも賢明に受ける先手だが、ここでは既に後手が良さそうだ。
図から▲8一飛△7一歩▲6二歩△8九角成▲6一歩成 △5六桂▲7一飛成△7七銀成▲6二と△5一銀打と進んだ。
▲8一飛は形作りだろうか。△7一歩と受けられるとどうにも攻めが遠い。一方後手の攻めは順調で△8九角成で桂馬を入手してからの△5六桂がすこぶる厳しい。後手はボロッと金を取られて更に▲6二との空き王手にも△5一銀打として涼しい顔。この後▲5一とにも△3一玉と逃げた。金駒をボロボロと3枚取られたが、遂に△6八成銀が回って後手が寄せ切った。
終わってみれば一方的な内容になってしまった。こうなると封じ手の辺りでは既に後手優勢なのだろうかと勘ぐってしまう。▲3四歩と取り込ませても指せると感じた羽生の大局観はさすがと言うほかない。
#一言日記:1日目のレポートをアップしようとしたがFTPが受け付けずHPの更新が出来なかった。先日インストールしたファイアーウォールソフト(@NIFTYの懸賞で当選した)が原因だった。
[2001/07/18 22:30]
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第2局1日目
いきなり封じ手の局面は下図。
後手:屋敷伸之七段
後手の持駒:角 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・v金v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二
| ・ ・v歩v歩v歩v歩v桂 ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
|v歩v飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 歩 ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ 玉 銀 金 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:角 歩二
【手数=34 △8五飛 まで】
8五飛戦法のように見えるがさにあらず。後手の飛車は一旦は8ニに引いた。端の突き合い等をした後△8五飛と浮いたのが封じ手の局面だ。
単純に考えれば後手は手損をしていることになる。高度な間合いなのだろうか?
封じ手は...想像も付きません。
#一言日記:夏の甲子園、我が千葉県代表は習志野高校。名門復活成るか。
[2001/08/01 0:30]
第2局2日目
屋敷七段といえば手裏剣あり綱渡りあり、忍者屋敷の異名を持つ棋士だ。封じ手の局面も手損の8五飛は「らしい」感じはするのだが...。
封じ手は▲2六飛だった。さらに△5四歩▲7七銀△5五歩▲6六銀と進んだ。この辺は正直よく分からないが。△5四歩〜5五歩の構想はどうだったか、と思う。
さらに進んで下図。
後手:屋敷伸之七段
後手の持駒:角 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・v金v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v歩v歩 ・v歩v銀 ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|五
|v飛 ・ 歩 銀 飛 ・ ・ 歩 ・|六
| ・ 歩 桂 歩 歩 歩 ・ ・ ・|七
|vと ・ 金 ・ 玉 銀 金 ・ ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:角 桂 歩三
【手数=60 △3三同銀 まで】
先手の飛車が5六にいるのは先の▲6六銀に△5六歩▲同歩と突き捨てたから。後手はなんだかんだと動いて端を破ったがここでは先手が手番を握っている。
ここから▲3四歩△同 銀▲5四桂△5三銀▲3三歩△同 金▲6五桂△4四銀▲8五角と進んだ。
先手の攻めは自然だ。この後は危な気なく羽生が勝利した。
第1局に続いて忍者屋敷の将棋としては不満な内容になってしまった。ちょっと方の力が入り過ぎかな?
#一言日記:暑い。エアコンのない部屋でこのページを書いている。Gauge PROでPowerBookの温度を見てみると55℃になっている。こんな近くに立派な熱源があったのね。
[2001/08/02 0:15]
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第3局
郷田新棋聖が誕生したのはつい数日前。相変わらず対局過多の羽生だが、これは強者の宿命なのでしょうがない。
後手の羽生は四間飛車。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v玉v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・v銀 ・v金v飛v銀 ・ ・|二
| ・v歩v歩 ・v歩 ・v角v歩v歩|三
|v歩 ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 角 金 銀 ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:屋敷伸之七段
先手の持駒:なし
【手数=23 ▲6八角 まで】
図から△4五歩▲8八銀△4三銀▲3七桂△5四銀▲7七角△4六歩(封じ手)▲同 歩△同 飛▲2四歩△同 歩▲3三角成△同 桂▲2四飛と進んだ。
3二銀のままの後手陣は▲6八角を誘っているように見えるが、先手は▲6八角を指した。△4五歩と角道を開けさせて▲7七角と角を戻したのが屋敷らしい忍者っぽい動きだった。
先手は2筋を放棄して△4六歩と指した。しかしこれはさすがに、ほとんど無条件で飛車先を破らせることになり無理っぽい。先手優勢だろう。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:桂 香 歩六
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・v玉v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v馬 ・ ・ ・ ・ 龍|三
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・v龍 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 銀 歩 ・ 歩 角 ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:屋敷伸之七段
先手の持駒:銀 桂 歩
【手数=68 △6三角成 まで】
図は2七に打った角を△6三角成と自陣に引き戻したところ。先手の銀得になっている。しかし後手の馬は強靱なのに対し先手は働きの薄い生角。ここでは意外と形勢が近い感じがする。結果は羽生が2筋に作った遠いと金を活かして106手で勝った。
王位戦ではじめて優勢になった屋敷だが勝ちに結び付けることが出来なかった。勝手に転んでいる感じさえしていた1・2局よりは良くなったもののまだまだ屋敷らしい将棋は現れていない。第4局は一矢報いることができるか?
#一言日記:さあ盆休みだ!えっ、いきなり雨なの?千葉ロッテ戦見に行こうと思ってるのに(T_T)
[2001/08/11 2:15]
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第4局
ここまでは圧倒的とさえ言える将棋で羽生の3連勝。後がない屋敷だが、そろそろエンジンがかかっても良い頃合だ。
相振りになった。今後の王座戦(挑戦者は久保七段)や竜王戦(現在、挑決まで駒を進めている)といった振り飛車党相手の戦いを睨んだ選択かもしれない。
後手の布陣は「新相振り革命」で「△3三角戦法」と分類されているものだ。角道を通したままで駒組が出来る点が特徴で、さらに△5五歩(下図)とする本譜の指し方は優秀だと思う。ただし、守勢になってしまうので攻め好きの人には向いてないかも。
後手:屋敷伸之七段
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v銀v玉v金v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v銀v歩v角 ・ ・|三
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v歩|四
| ・ ・ 歩 歩v歩 ・v歩 ・ ・|五
| 歩 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩|六
| ・ ・ 角 銀 歩 歩 歩 歩 ・|七
| ・ ・ ・ ・ 金 金 玉 銀 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:歩
【手数=44 △5五歩 まで】
図で羽生は直ぐに▲5六歩と指した。以下の指し手は△5四銀▲5五歩△同 銀▲2六歩△9三銀▲5六歩△4四銀▲2七銀△8四銀▲6六角△4五銀▲5五歩△3四銀。
難しい中盤戦だが、▲2六歩〜2七銀としたのは、(私の感覚では←当てになりません)面白くない感じがする。銀をうまく3四に移動して、後手がほんの少し指し易くなったと思う。
以降も難解な将棋だったが、結果は羽生が勝利して4連勝で防衛を果たした。屋敷七段は久々のタイトル戦登場だったが、らしさを発揮出来ずに終わってしまった気がして少し残念。
羽生はこれでなんと王位戦9連覇だ。
#一言日記:近くのショッピングモールに映画館があって、最終上映は1000円と格安なのでよく利用する。先日「猿の惑星」を観た。期待以上でも以下でもないが、楽しめた。少し前に観た「AI」は最悪、出来の悪いピノキオにどのように感情移入しろというのか?
[2001/08/22 1:15]
誤記訂正[2001/09/07 0:00]
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