第1局1日目
遂に王座の一冠のみになってしまった羽生だが、なかなかどうして成績に衰えは見られない。
かくして4期連続同一カードとなった今期王位戦。いよいよ開幕だ。
戦法は何でもござれの両雄だが、本局は思いもよらぬ戦型となった。図は封じ手の局面。
後手:谷川浩司王位
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金v銀v桂v香|一
| ・ ・v飛 ・v金 ・v玉v角 ・|二
| ・ ・v歩v銀v歩v歩 ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 飛 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 歩 ・|七
| ・ 角 ・ ・ 金 ・ 銀 玉 ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治二冠
先手の持駒:なし
【手数=24 △9四歩 まで】
▲7六歩△3四歩▲7五歩の出だしから、先手羽生二冠は石田流の構え。
7六飛の浮き飛車に組めれば作戦勝ちと言われていたのは一昔前。居飛車は石田流を苦にしなくなった。故にあまり見なくなったが、最近また復調の兆しがあるようだ。
図は△7四歩が見えているが、▲9七角は△6五歩がある。先手の封じ手に注目したい。
#一言日記:昨日4時32分、無事次男がこの世に生を受けた。君が生きる世紀を住み良い時代にするのは大人の責任と思う。
[2004/07/16 21:00]
第1局2日目
封じ手は▲7七角。以下△4二銀▲6八銀△3三銀▲9五歩△同 歩▲同 香△9三歩▲9六飛と進んだ。
先手は端から動いた。将来負担になるかもしれない香を捌いたのはまずまずの収穫で、振り飛車党の私にしてみれば彼我の陣形の差からも振り飛車成功と断じたい局面だ。
少し進んで下図。後手は玉側の端にプレッシャーをかけてきた。銀冠に組み換え、端の嫌みを消せば盤石と思ったが、羽生王座の指し手は過激だった。
後手:谷川浩司王位
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v金v玉 ・ ・|二
|v歩 ・v歩 ・v歩v歩v角v歩 ・|三
| ・ ・ ・v歩v銀 ・v歩v銀v歩|四
| 香v歩 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 飛 ・ ・ 歩 歩 ・ ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 桂 銀 ・ 歩 歩 歩 ・|七
| ・ ・ ・ 角 金 ・ 銀 玉 ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治二冠
先手の持駒:歩
【手数=42 △3三角 まで】
ここから▲7四歩△同 歩▲9三香成△同 香▲9四歩△同 香▲同 飛△9三歩▲9六飛△7五歩▲2六香△7一香と進んだ。
香を入手して2四の銀を撃退するのが先手の狙い。ただし▲7四歩△同歩が飛車を生還させるのに必要な手で指し過ぎの恐れもある。
▲2六香で狙いは実現したが、後手も△7一香の反撃で着実に先手の手を咎めに来た。この後に先手に有効な手がなかったことから判断するとやや指し過ぎだったか。
終盤の下図。やや指し手に窮したかと思われた先手だが、強手が出た。
後手:谷川浩司王位
後手の持駒:銀二 香 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| 馬v桂v香 ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v金v玉 ・ ・|二
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩v角 ・ ・|三
| ・v飛 ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・|四
| ・ ・ ・ 桂v銀 ・ ・ ・ 歩|五
| 飛v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 歩 歩 香|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 ・|九
+---------------------------+
先手:羽生善治二冠
先手の持駒:金 歩四
【手数=78 △4二同金 まで】
ここから▲5三桂成△同 金▲8一馬△同 飛▲9三飛成△5二香▲4五桂と進んだ。
桂の成り捨てから馬を切ったのが強手で、これでまた先手が優勢になったと思われたがそうではなかったようだ。
というのは後手谷川王位の端攻めが見事だったからだ。下図は▲7三歩として後手に手を渡したところ。先手玉が寄らなければ先手の勝ちだ。
後手:谷川浩司王位
後手の持駒:角 銀 桂 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・v飛v香 ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| 龍 ・v銀 ・v香 ・v玉 ・ ・|二
| ・ ・ 歩 ・v角v歩 ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・v歩v歩 ・v歩v歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・v銀 ・ ・v桂 歩|五
| ・v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 金|六
| ・ 歩 ・ 金 ・ 歩 歩 歩 香|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 玉 ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ 桂 ・|九
+---------------------------+
先手:羽生善治二冠
先手の持駒:金 歩四
【手数=93 ▲7三歩打 まで】
ここから△1五香▲同 金△1七桂成▲同 桂△1一香▲1四歩△同 香▲同 金△1六桂。以下106手で後手谷川王位の勝ち。
昔、谷川王位の実兄の端攻めが「悪魔の一着」と呼ばれているが、悪魔の一着に相応しい端攻めだった。
#一言日記:子供が産まれてほっとした訳ではないが、風邪で寝込んだ。17日は王位戦実況があったがとても集中して見れる状態ではなかった。対局の映像を配信していたが、新しい試みでよい事だと思う。
[2004/07/18 23:00]
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第2局1日目
第2局、先手谷川王位の作戦は5筋位取り中飛車。2局連続で先手が飛車を振った。しかも2局とも四間飛車じゃないというのが興味深い。
後手羽生王座は7四〜8五〜7六と単騎で銀を繰り出し、遂に△8七銀不成と歩をかすめ取ったのが下図の封じ手の局面。
後手:羽生善治王座
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・v金 ・v玉v角 ・|二
|v歩 ・v歩 ・v歩v歩v銀v歩v歩|三
| ・v歩 ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ 銀 ・ ・ ・ ・|六
| 歩v銀 ・ 歩 ・ 歩 歩 歩 歩|七
| ・ ・ ・ 角 飛 ・ 銀 玉 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司王位
先手の持駒:なし
【手数=28 △8七銀不成 まで】
先手は8筋は軽くいなす方針だ。この局面、どうなのだろう。5筋に位を取っている5六の銀が美しいし、陣形も美濃の先手がよい。後手陣は△3三銀の形が不自然だ。
こんな単騎銀は相手にしなければよく、一目振り飛車よしと思うのだが...。
第1局も9筋の香を捌いた辺りは圧倒的に振り飛車よしと思ったものだが、それは振り飛車党の色眼鏡で見ているからで、居飛車党の目で見れば本局もまだ五分なのだろうか。
とはいうもののここから具体的にどのような方針で指すのかは分らないので封じ手に注目したい。
#一言日記:ナベツネさんは、今日も下々の者を見下した様な発言をしているが、こんなオッサンがオーナーである巨人の人気があること自体が不思議でならない。
[2004/07/28 00:00]
第2局2日目
封じ手は▲4六角 。以下△4四銀▲7四歩△6三金▲7三歩成△同 桂と進んだ。
先手はたとえ少々乱暴な手段になろうとも、大駒のどちらかを捌いて、陣形の差を活かしたいところ。先手が捌けるか、逆に後手が先手の荒捌きを封じることができるかという勝負になってきた。
図は7五にいた成銀を▲7六歩と叩いて△同成銀と応じたところ。この局面をあらためて見ると3三にいた愚形の銀も4四銀と良い場所に位置し、先手が捌くのは大変かもしれない。
後手:羽生善治王座
後手の持駒:歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v玉v角 ・|二
|v歩 ・v桂v金v歩v歩 ・v歩v歩|三
| ・v歩 ・v歩 ・v銀v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・v全 歩 銀 角 ・ ・ ・|六
| 歩 ・ ・ ・ ・ 歩 歩 歩 歩|七
| ・ ・ ・ 飛 ・ ・ 銀 玉 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司王位
先手の持駒:なし
【手数=40 △7六同成銀 まで】
ここから▲6五歩△同 歩▲5四歩△6六歩▲5三歩成△同 銀▲6五銀△6七歩成と進んだ。
先手は執拗に角の利きで飛車の媚びんを攻める。▲6五銀とアクロバティックな手も出るが、6筋の歩が自然に伸びて△6七歩成としたところでは先手が苦しい。
途中、▲5三歩成△同銀と成り捨てるのも角道が空くので難しいところ。飛車の媚びんを攻めるという趣旨の本譜だがその過程で少しずつ損な手を重ねざるを得ないところに先手の誤算があったか。
84手で羽生王座が勝って1−1のタイに戻した。
しかし、本当に先手は捌く術がなかったのだろうか。何らかの手順がある気がしてならないのだが。
#一言日記:サンダーバードを観たいが、近くのシネコンではやらないらしい。残念。
[2004/07/28 23:40]
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第3局1日目
第3局も後手谷川王位がゴキゲン中飛車を採用したので、3局連続で振り飛車戦になった。図が1日目の終了図。
後手:谷川浩司王位
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・ ・v金v角 ・|二
| ・v歩v歩v歩v銀v歩 ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・v歩 ・v歩 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・|六
| ・ 歩 角 ・ 歩 銀 歩 ・ 歩|七
| ・ 玉 金 銀 ・ ・ 飛 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王座
先手の持駒:なし
【手数=38 △1四歩 まで】
後手はゴキゲン中飛車から3筋の位を取って石田流の布陣に組んだ。先手は対ひねり飛車の様な布陣を組んだので、途中、一度切った2筋の歩を△2四飛▲2五歩と謝る展開になっている。
振り飛車としては構想通りの展開だが、3二にいる金をどのように活用するかが課題となりそうだ。
先手は▲3八飛として積極的に石田組みを咎めに来た。2日目の展開はまずは3筋の攻防になりそうだ。
#一言日記:8月1日付けで15年振りに同期の1人が同じ職場に転職してきた。今日はその歓迎会で二次会は久々のカラオケとなった。
やはり最近、うちの部に赴任してきた部長も同席だったが、この人「やまねずみロッキーチャック」が十八番。「天空の城ラピュタ」の主題歌も熱唱していた。ご馳走様でした部長。
[2004/08/05 00:50]
第3局2日目
封じ手は▲3六歩。以下△同 歩▲同 銀△1三角▲3五歩と進んだ。先手は3筋から仕掛けたが、それは後手も承知で1日目に指した△1四歩の継続手△1三角で牽制してきた。
互角の戦いが続くと思われたが、急激に形勢が傾いた。下図は△3四歩の銀取りに▲8六角と先手も銀取りをかけた局面。
後手:谷川浩司王位
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v銀v歩 ・v歩v角|三
|v歩 ・v飛 ・ ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・v歩 ・ 銀 歩 ・|五
| 歩 角 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 銀 歩 ・ ・ ・ 歩|七
| ・ 玉 金 ・ ・ 金 飛 ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王座
先手の持駒:歩
【手数=51 ▲8六角 まで】
ここから△3五角▲同 飛△同 歩▲5三角成△2八飛▲6二銀△同 金▲同 馬△7一銀▲同 馬△同 玉▲3九金△2六飛成▲3七金△2五龍▲4七角と進んだ。
長手数進めたが、先手の流れるような見事な手順だ。この辺りの折衝で形勢が先手に大きく傾いた感じがする。
△3五角は本譜の様に進んだ時に△2八飛が4八の金取りの先手であることに期待をかけた手だ。
しかし金取り放置の▲6二銀が強い手だった。やむを得ない△同金に▲同馬△7一銀▲同馬と馬を切ってしまって、べたっと▲3九金。
更に△2六飛成には▲3七金として△2五龍には▲4七角の7四の飛と2五の龍の両取りがフィニッシュ。△2八飛と打たせてこれを悪手にする発想が見事だ。
この後幾許もなく87手で羽生の勝ち。後手としてはこの順の中に誤算があったと思われる。具体的なことは分らないが、左金が3二のままでは強い戦いは無理だったのではないかと思う。
#一言日記:7月31日にiBOOKとAirMacExpressをAppleStoreで発注した。
納期はiBOOKが3〜4日、AirMacExpressが3〜4週間ということだったので、当然分納されてお盆休み前にはiBOOKが手元にあるものと思っていたが、足の遅い方に合わせられて8月30日に出荷予定日ということが分かった。
これはたまらんと電話で、分納してもらう様に要求した。ということでiBOOKは8月11日が出荷予定日になった。こういう細かな配慮が足らないんだよなアップルは。
[2004/08/06 01:00]
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第4局1日目
第4局はまたしても振り飛車戦、後手羽生王座は四間飛車を採用した。
藤井システムの出だしから、▲3六歩で△6二玉を見てから▲5五角とする手法だ。▲5五角に△6三銀と応じて下図。
後手:羽生善治王座
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v玉v金v飛v銀 ・ ・|二
| ・v歩v歩v銀v歩 ・v角v歩v歩|三
|v歩 ・ ・v歩 ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 銀 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司王位
先手の持駒:なし
【手数=22 △6三銀 まで】
ここから▲3五歩△同 歩▲4六銀△4五歩▲3三角成△同 桂▲3五銀△3四歩と進んだところで、封じ手となった。
▲5五角戦法は、タイトル戦では第14期竜王戦第1局(羽生○vs藤井)がある。
その将棋は▲5五角とした時にはまだ▲3六歩を突いていない形なのが本局と違い、△6三銀と美濃が崩れたのに満足して、▲6六歩から左美濃を目指す持久戦になった。
本局はいきなり▲3五歩と仕掛けて、早くも本格的な戦いとなった。
封じ手は光速流の谷川なので▲2四歩が有力か。▲2四歩は主催サイトの封じ手予想でも一番人気のようだ。
一見▲2四歩△同歩▲同銀で先手の調子が良さそうだが、▲同銀の局面が「重い」形で、この瞬間に後手に技をかけられそう。したがって▲2四歩△同歩に▲3四銀だろうか。
▲5五角戦法は新しい藤井システム以降の新しい指し方なので、最近のタイトル戦の中で四間飛車党として最も注目する一局となった。
#一言日記:■分納を依頼したiBOOKは8月7日に納入された。OS X(Panther)はようやくまともに使えるOSになった感じだ。やはりMacは良いと実感した。
■サンダーバードは近くのシネコンで上映していることが判明したので、盆休みに4歳の長男と観に行った。子供向けに味付けされていたので子連れには丁度良かった。
[2004/08/26 01:30]
第4局2日目
封じ手は▲2四歩。△同 歩▲同 銀△4六歩▲3三銀成と進んだ。
▲2四同銀は重いので▲3四銀を予想していたが、▲3三銀成と桂馬を取ったのが、スピード優先の谷川らしい手だった。
以下先手が飛車を成る展開となったが、銀桂交換なので後手もなんとかなりそう。互いに薄い陣形で難解な中盤となった。
少し進んで下図。難解な手順が展開される。
後手:羽生善治王座
後手の持駒:銀 歩四
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ 龍 ・ ・ ・|一
| ・ ・v銀v玉v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩 ・v歩 ・v銀 ・v歩|三
|v歩 ・ ・v歩 ・v角v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・|六
| 歩 歩 歩 歩 香 ・ ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司王位
先手の持駒:角 歩二
【手数=49 ▲4一龍 まで】
ここから△5五角▲4五歩△5六桂▲3七角△7一玉と進んだ。
△5五角の龍取りに▲4五桂。今度は▲4五歩で龍取りを防ぎつつ角取り。化かし合いの様な手順だ。
この辺りでは先手の模様が良いという意見が多かった様だが、本局の羽生は受けで流れを自分に引き寄せた。
さらに少し進んだ下図辺りから形勢が急転する。△1四角は好打だが、これは先手も警戒している筋なので予定と思われる。
後手:羽生善治王座
後手の持駒:歩五
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v玉v金 ・ 龍 飛 ・ ・|一
| ・ ・v銀 ・v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩 ・v歩v銀 ・ ・v歩|三
|v歩 ・ ・v歩 ・v銀v歩 ・v角|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ 香v角 ・ ・ ・|六
| 歩 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司王位
先手の持駒:桂 歩
【手数=62 △1四角打 まで】
ここから▲4五歩△4一角▲4四歩△3二銀▲3三桂△2八飛▲4一桂成△5七角成▲5九銀△5八馬▲同 銀△2一金と進んだ。
先手の攻めは重く、その隙に取った飛車を敵陣に降ろして、角と金を刺し違えて△2一金でもう一枚の飛車も手に入れた。
気が付けば先手の攻めは完全に切れてしまった。
102手で羽生の勝ち。羽生王座の受けが印象に残る一局となった。
#一言日記:オリンピックで一喜一憂。野球は注目していたが、オーストラリアに2敗(現阪神のウイリアムスに2度抑えられたことになる)しては銅でもいたしかたないか。
[2004/08/28 01:30]
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第5局1日目
第5局でようやく相居飛車戦が登場した。後手谷川王位は一手損での角換りを選択。しかし流行りの腰掛銀にはならず、相早繰り銀という珍しい戦型になった。
図が1日目終了の局面。
後手:谷川浩司王位
後手の持駒:角 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・v歩v歩v歩v銀v歩v歩|三
|v歩 ・ ・v銀 ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・v歩v歩 ・ ・ ・ 銀 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 銀 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王座
先手の持駒:角 歩
【手数=28 △7五歩 まで】
腰掛銀ならば、後手は一手損によって桂の活用が容易な8四歩型が作れるが、本譜の様な進行では後手の主張はどこになるのだろうか。玉の位置の違いしか目に入らないのだが。
素人なので全く想像がつかないが、谷川王位に思うところがあるのだろう。
#一言日記:プロ野球はいよいよストの方向に進みそうだ。プロ野球経営ってそんなに儲からないのだろうか。一度livedoorにやらせてみたらはっきりするのに。
[2004/09/08 00:10]
第5局2日目
激しい戦いになった。図は△7六歩▲8八銀と先手の銀をへこませたところ。局後羽生は「壁銀なので中盤戦は苦しいと思いました」とコメントしている。
後手:谷川浩司王位
後手の持駒:角 銀 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・v歩v歩|三
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・v歩v銀 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|五
| ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王座
先手の持駒:角 銀 歩三
【手数=43 ▲8八銀 まで】
ここから△6五銀▲4六角△3六角▲6五飛△4七角成▲7五飛△4六馬と進んだ。
△6五銀はもったいないが手厚い手だ。ここでは先手陣は壁銀、後手陣は居玉だが5段目の二枚の銀が制空権を押さえている感じがする。先手玉の移動はマイナスに後手の居玉はプラスになっているとも言えそうだ。
これでゆっくりした展開になるかと思いきや、▲4六角(▲6五飛狙い)に対して、悠然と△3六角として銀銀と角の二枚換えになった。
中段の二枚の銀が消去されての二枚換えは流れに反すると思う。この辺りの居飛車系の感覚は持ち合わせていないので理解できない。そもそも駒損だし。
図は△4七角と打ったところ。局後谷川は「△4七角は手拍子で、△2七角などもっと考えるべきでした」とコメントしているのでどうやら疑問手だったようだ。
後手:谷川浩司王位
後手の持駒:飛 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・v歩v歩|三
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ 角 ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 銀v角 ・ ・ 歩|七
| ・ 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王座
先手の持駒:銀二 歩四
【手数=58 △4七角打 まで】
ここから▲5八銀△2九角成▲5四歩△同 歩▲1一角成△3三桂▲3六香△4五桂▲3二香成△同 飛▲5三銀と進んだ。
▲5八銀と弾いた後、▲5四歩として5三の地点に空間を作ったのが巧妙だ。▲3六香も痛打だし、▲5三銀と作った空間に銀を放り込んだところでは先手勝勢だろう。
谷川コメントの△2七角なら▲5四歩はないということと思うがそれでも、この局面は後手が良いと感じる。
87手で羽生王座の勝ち。
谷川は虎の子の王位を奪取されてしまった。今期王位戦の谷川は中盤でポッキリ折れてしまう将棋が多かったように思う。谷川vs羽生らしい丁々発止の終盤戦を期待していただけにちょっと物足りなかった。
羽生は3期振りに王位に復位(通算10期目)。羽生時代の再構築なるか。
#一言日記:パのもう一組の合併はダイエーとロッテだったそうだが、こちらは進展なしということで来期はセ6チームパ5チームでいく方針らしい。どうなるのプロ野球。
[2004/09/09 00:50]
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