第1局
第1局は意外にも後手羽生王位の四間飛車に。対する佐藤棋聖は5七銀右〜4六歩急戦、注目の戦型になった。展開は第64期名人戦第4局(森内○vs●谷川)と同様な奇跡を経て下図は名人戦で登場した谷川新手△8四角。ここで封じ手となったのも名人戦と同じだ。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v銀v玉v金 ・ ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩 ・v桂v歩v歩|三
| ・v角v飛 ・ ・ ・v銀 ・ ・|四
|v歩 ・ ・ 角 ・ ・v歩 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ 金 飛 ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:歩二
【手数=44 △8四角 まで】
ここから▲5七銀△4五桂▲6六銀△6四飛▲3二角成△6六飛▲同歩△同角▲4七飛△5七銀と進んだ。
名人戦では▲7四角△同飛と飛角交換して△4五桂だったが、本局は単に▲5七銀。△6六飛と飛車を切って後手が猛攻に出た。
図は△3二金と強引に先手の大駒を取りにいったところ。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ 飛 ・v香|一
| ・ ・v銀v玉v金 ・v金 馬 ・|二
|v角v歩v歩v歩v歩v銀 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
|v歩 ・ ・ 飛 ・ ・v歩 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ ・v圭 ・ ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:金 銀 歩二
【手数=68 △3二金 まで】
ここから▲同馬△同銀▲同飛成△4三角▲同龍△同金▲6八歩△3九飛▲1八角△7四歩と進んだ。
本譜は飛車(龍)を残したので△4三角で後手に飛車を渡すことになった。
最後の△7四歩が△7三桂から6五の飛車を目標にする好手で駒損ながら後手優勢だろう。
この局面の周辺にいくつか疑問点がある。
・飛と龍の両取りには△4三角と△5四角があるが、△4三角を選んだ理由は?
・△4三角に▲同龍としたので6五に残った生飛車が目標になった、▲3五飛とする手はなかったか?
・▲1八角は2九の桂馬に紐がついているものの絶好の攻防手という訳ではなさそうだ。むしろ疑問手だと思う。変わる手はないか?
・そもそも図で△3二金が馬と飛車の両取りになったのは図の少し前に下ろした飛車の位置(3一)が悪かったのでは?あるいは二枚換えなので△3二金を軽視したか?
いずれにせよ封じ手の▲5七銀より▲7四角と飛車を取る方が居飛車にとっては有力だと思う。
#一言日記:7月15日で次男が2歳になる。おめでとう慧君。
[2006/07/15 02:10]
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第2局
最近後手番で変幻自在の将棋を披露している佐藤棋聖。佐藤後手番の第2局は飛車を2筋に振った。その後、後手は一目散に穴熊に囲った。先手も▲1八香として相穴熊になって下図。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v玉v桂v金 ・ ・v金 ・v桂v香|一
|v香v銀 ・ ・ ・v銀 ・v飛 ・|二
|v歩v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 角 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七
| 香 ・ ・ ・ 金 銀 ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:なし
【手数=25 ▲1九玉 まで】
ここで後手は△4五歩!
間合いを合わせて▲1一玉の瞬間に△4五歩としたのが佐藤の趣向か。確かにこの瞬間角交換を狙うのは対居飛穴戦でよく見られる手だが、本譜はあまり効果がなかったようだ。
角交換した後手だが、その後特に明確な狙いがない(ように見える)展開となり、先手十分な将棋になってしまった。
図は中盤戦。5四と7四の銀は互いに打ち合ったものだが、5四の銀の方が働いているのは明白だ。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v玉v桂v金 ・ ・ ・ ・ ・v香|一
|v香v銀 ・ ・ ・v金 ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩 ・ ・ ・v桂 ・v歩|三
|v歩 ・v銀v角 銀 ・v歩v飛 ・|四
| ・ ・ ・v歩v歩v歩 歩v歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 角 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛|八
| 玉 桂 金 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:歩
【手数=70 △7四銀 まで】
ここから▲6六歩△同歩▲6五歩△3五歩▲6四歩△5四飛▲7五歩△6五銀▲6三歩成と進んだ。
▲6六歩が局面を決める好手で、角銀交換の駒得+と金得の成果を上げて先手勝勢に。
こうなると相穴熊戦は劣勢になった方が逆転するのは難しい。このまま押し切って羽生の2連勝となった。
本譜の後手の作戦は狙いがなくつまらなかったと思う。どこかで佐藤流の常識を覆すような手が出ると期待していたのだが。
#一言日記:先日、王座戦予選で、女流棋士が一斉に登場した。ネットで中継していたが、団体戦っぽくってなかなか面白い趣向だと思った。結果は残念ながら女流の全敗。
[2006/07/30 23:55]
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第3局
第3局は、最近のタイトル戦ではむしろ珍しい矢倉戦となった。3七銀戦法の基本図の一つに進展。下図から先手が仕掛けた。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
| ・ ・v角v歩v銀v金v桂v歩 ・|三
| ・v歩v歩 ・v歩v歩v歩v銀v歩|四
|v歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 歩|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 桂 ・ ・|七
| ・ 玉 金 角 ・ ・ 飛 ・ 香|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:なし
【手数=46 △3三桂 まで】
ここから▲5五歩△同歩▲2五歩△同桂▲同桂△同銀▲3五歩△5四桂と進んだ。
▲5五歩からの仕掛けは、幾度となく指されてきた。最後の△5四桂が真新しい手だ。自陣の桂馬を中央に打ち変えた訳だが、桂馬の働きが良くなったかは微妙だ。
少し進んで下図。ここに至るところで、巧みな手順で6四歩の突き捨てを△同銀と取らせている。8一の桂は7七の銀と交換することに成功しているが、その程度では収支の折り合いがつかないのが矢倉の難しいところだ。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:銀 歩五
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
| ・ ・v角v歩 ・v金 ・v歩 ・|三
| ・v歩v歩v銀v桂v歩v銀 ・ 歩|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|五
| ・ ・ 歩 ・v歩 ・ ・ 銀 ・|六
| 歩 歩 金 ・ ・ 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 角 ・ ・ 飛 ・ 香|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:桂二
【手数=74 △5六歩 まで】
ここで先手は▲3五桂。
BSの囲碁将棋ジャーナルで解説の高橋九段が絶賛していた手だ。「こういう手じゃないと羽生を倒せない」というようなことを言っていた。
▲3五桂は先手の攻め駒の筋を止める手で、いわゆる「重い手」の類いだ。しかし、こういう手じゃないと羽生の懐を脅かすことは出来ないということらしい。
高橋九段はこの将棋の佐藤棋聖の差し回しを、「佐藤将棋のうちでもトップ3に入る可能性がある」という程絶賛している。
収束も素晴らしく、123手で佐藤の勝利となった。佐藤が気持ち良く勝った印象だが、佐藤123手目を指すまで勝ちになったと思わなかったそうだ。
#一言日記:名人戦問題はひとまず朝日というころで決着したようだ。週刊将棋を宅配してもらうために毎日を取っているけど、週将はどうなってしまうのだろうか?
[2006/08/06 23:50]
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第4局
第4局は、後手佐藤棋聖の中飛車に。この戦法はアマチュアに人気のあるが、本局はアマチュアにはあまり参考にならない異筋の手が印象に残る将棋となった。
図は△2六歩と飛車先を押さえたところ。後手陣には馬がいるが、対して先手は一歩得しているということで均衡は保たれているか。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金v飛 ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・v銀v金 ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v馬v歩 歩 ・|四
| ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・v歩 ・|六
| 歩 歩 桂 ・ ・ 銀 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ 金 銀 ・ 金 ・ 飛 ・|八
| 香 ・ 玉 ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:角 歩二
【手数=44 △2六歩 まで】
ここから▲3六銀△3三銀▲4五歩△6二馬▲5七角△2二銀と進んだ。
▲3六銀がいかにも本筋ではない感じで、ひねりだしたという雰囲気の手だ。こういう手を指されると、後手としては一歩損でも不満のない展開という判断に落ち着くのではないだろうか。
▲5七角も生角で先手やや苦しいかと思ったが2四の歩を守るには必要な手だ。対する△2二銀はそれを上回る奇異な感じの手だ。銀を活用するなら玉から遠ざかる△2二銀よりは△4二銀としそうなものだが、これがなかなか意味深長な手だったようだ。
この辺りは後手ペースだと思う。
少し進んで下図。▲4五銀△2八角成と互いに飛車を取り合ったところ。よりが戻った感じがするが、これは後手が局面を決めに行った結果だと思う。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:飛 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・ ・v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・ ・v金v銀 ・|二
| ・v歩v歩v歩 ・ ・v桂 ・v歩|三
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|四
| ・ ・ ・ 歩 ・ 銀 ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 桂 銀 ・ ・ 歩 ・ 歩|七
| ・ 玉 金 ・ ・ 金 ・v馬 ・|八
| 香 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:飛 角 歩二
【手数=76 △2八角成 まで】
ここから▲6四歩△4五桂▲5四角△5二銀▲4五角△4二飛と進んだ。
▲6四歩が先手の追い上げを感じさせる。△4五桂に▲5四角がスピード重視の一手だが、△5二銀がそれを上回る好手で△3二角成と金を取られるのは急所が逸れているので大丈夫という判断だ。先手も承知で4五角と金ではなく▲桂を取ったがそこで△4二飛がこれまた落ち着いた好手で、後手優勢になったようだ。
112手で佐藤が勝って2−2のタイに戻した。
王座戦も挑戦者に名乗りを上げた佐藤、差し回しは充実ぶりを感じさせる。いかに羽生といえども、佐藤の勢いを押さえるのは大変かもしれない。
#一言日記:今日(昨日)は社団戦だったが家族サービス優先で止むなく欠席。出来れば8月開催は止めて欲しいものだ。
[2006/08/28 01:10]
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第5局
佐藤棋聖がまたしても奇天烈で意欲的な序盤を披露した。第5局は後手羽生王位の一手損角換になった。
図はその序盤戦。後手は飛車先の歩を突いおらず、先手は1筋の歩を突き越している。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・v玉 ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二
|v歩v歩 ・v銀v歩v歩v銀v歩v歩|三
| ・ ・v歩v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 歩|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 銀 ・ ・ ・|七
| ・ 銀 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 玉 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:角
【手数=20 △5二金 まで】
ここで佐藤は▲7八飛!
この独創性には感服する。1筋の位があるので右玉は頷ける選択で、本譜も結果的に右玉の将棋になった。
現代の将棋はいかに穴熊へ組み替えて駒組で優勢になるか、というのが大きなテーマの一つになっている。角換りの将棋も例外ではない。本譜の後手は穴熊への組み換えに成功した。
図は▲8六歩に△8二飛と6筋に回っていた飛車で8筋を受けたところ。
佐藤はここで攻めた。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:角
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v玉|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v金v香|二
| ・ ・ ・ ・v歩 ・v銀v歩v歩|三
| ・v歩v歩 ・v銀v歩v歩 ・ ・|四
|v歩 ・ ・v歩 歩 ・ ・ 歩 歩|五
| ・ 歩 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ ・|六
| 歩 ・ 桂 歩 銀 銀 桂 ・ ・|七
| ・ ・ ・ 金 ・ 金 玉 ・ ・|八
| 香 飛 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光棋聖
先手の持駒:角
【手数=55 ▲5五歩 まで】
ここから▲5五歩△同銀▲6五桂△5四角▲6六歩△3五歩と進んだ。
▲5五歩は佐藤らしい意思の強さを感じる手だが、本譜の様に角を急所に据えられては疑問手の可能性が高い。
中盤以降の長い将棋になったが、ここでのリードを守りきって後手が勝ちきった感じの将棋だった。
好調だった佐藤だが序盤の工夫は本局では空振りに終わった。
ここでの一敗は大きく、王位戦に限って言えば羽生王位が圧倒的に有利になったと思う。
#一言日記:盆休みに携帯の契約をした。携帯を持っていない人は圧倒的少数だったが、遂に自分もDocomoの下僕になってしまった。
[2006/09/04 00:40]
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第6局
第6局は後手佐藤棋聖の中飛車。後手が5筋の位を取り持久戦の展開になったが、序盤またしても佐藤に工夫の手が出る。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v飛v銀v金 ・ ・|二
| ・v歩v歩 ・ ・v歩v角v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 歩 歩 銀 桂 ・ ・|七
| ・ 角 玉 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:なし
【手数=29 ▲7七銀 まで】
ここから
△5一銀▲6六銀△6二銀▲6八金寄△6三銀右▲5八飛△7二金▲5六歩と進んだ。
△5一銀からの組み換えが佐藤の工夫。あくまで角持ちを止めないで駒組を進めるのが狙いだろう。対する先手は5筋に飛車を展開し、5筋の位を取り返した。
一昔前の中飛車の戦いになってきた。互いに陣形をまとめるのが課題だが、互いの主張が通っており両者不満のない展開だと思う。強いて言えば先手の利が失われている分だけ後手持ちかも知れない。後手としては3二の金が課題となっているが、先手陣も堅くならないので、対居飛穴程は金の捌きが気にならない。
しかし、中盤どう見ても不自然と思われる後手の角の動きで急に先手に形勢が傾いた。
図は先手が的確に咎めて、端から手を付けた後、飛車先の歩を切って2七に引いたところ。既に3二の金を気に掛けている暇はなく、後手は攻め合いに行くしかない局面だ。
後手:佐藤康光棋聖
後手の持駒:桂 歩五
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・v香|一
| ・ ・v金v銀 ・ ・v金v角 ・|二
| ・v玉v桂v銀 ・ ・ ・v歩 ・|三
| 桂v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・ 歩|四
|v歩 ・ ・ ・v歩v歩 歩 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 歩 ・ ・ 銀 ・ ・|六
| ・ 歩 ・ 金 銀 ・ ・ 飛 ・|七
| ・ 角 玉 金 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:香 歩
【手数=89 ▲2七飛 まで】
ここから△6五歩▲4五銀△6六歩▲同銀△6五歩▲5七銀△6六桂▲7九玉△9四玉▲4四歩と進んだ。
△6五歩は攻めるならここしかないが、端に綾をつけられて駒損している段階では後手苦しい。▲4四歩まで進んで先手がかなり優勢になったと思う。
129手で羽生が勝って王位防衛。3連覇で通算12期目の王位となる。また通算タイトル獲得数が64期となって中原誠永世十段と並んだ。
勢いのある佐藤棋聖だったが、羽生の牙城は崩せなかった。王座戦も同一カードで進行中だが、本日第2局を羽生王座が制して2連勝のでだしとなっている。
現時点での最強棋士は佐藤棋聖だと思っているのでたとえ羽生であっても防衛は難しいと思っていたが、流石に羽生である。羽生の強さを再認識する結果となった。
#一言日記:今日は長男の運動会だった。一年坊主なので親としてはじめて小学校の運動会に行ったわけだが、疲れた、の一言につきる。という訳で王座戦第2局の棋譜並べは後日にしたいと思います。
[2006/09/17 00:40]
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