第52期王将戦レポート

第1局1日目

前回と立場は逆だげど同一カードとなった。
佐藤王将は現在二冠で羽生に継ぐタイトル保有数。昨年のタイトル戦では幅広い戦法を駆使して新生佐藤を印象付けさせた。
相変わらずの過密スケジュールの中、つい先程竜王戦の防衛に辛くも成功した羽生三冠。こちらはちょっと体調が心配か?
二冠vs三冠という最高峰同士の七番勝負が始まった。

第1局は横歩取り。封じ手の局面は下図。

後手:羽生善治三冠
後手の持駒:歩二 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・v金v玉 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 ・ ・v歩v歩v歩v角 ・v歩|三
| ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 角 金 ・ 玉 ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光王将
先手の持駒:歩二 
【手数=29 ▲3五歩 まで】

8五飛車戦法の多岐に渡る定跡の一つらしく、最近のタイトル戦では第50期王座戦(○羽生vs佐藤●)第2局で出現している。同一カード。でも先後は逆。
△3五同飛と取ると角交換から▲4六角の両取りが狙いだけど、そう進んでも互角というから横歩取りは訳がわかりません。

#一言日記:12日に5年振りに免許の更新に行って来た。千葉免許センターは無茶苦茶込んでいておまけに違反(駐禁2回かな?)があったので2時間の講習を受けさせられ、なんだかんだで一日が潰れてしまった。
しかもよ〜く見てみたら名前が間違ってたゾ。
[2003/01/16 02:20]

第1局2日目

封じ手は△3五同飛。以下△同 飛▲3三角成△同 桂▲4六角△2五歩▲1六飛△3四飛▲3五歩△4四飛▲9一角成△7三桂▲3六飛と進んで下図。
ここまではまでは王座戦と同一進行だ。香得の実利が勝るか馬を封じ込めた△3七桂の味が良いと見るか評価が分かれそうな局面だ。

後手:羽生善治三冠
後手の持駒:角 歩二 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| 馬 ・ ・ ・v金v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 ・v桂v歩v歩v歩v桂 ・v歩|三
| ・ ・v歩 ・ ・v飛 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩v歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ 玉 ・ 銀 ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光王将
先手の持駒:香 歩 
【手数=41 ▲3六飛 まで】

王座戦はここで△4五桂▲4六香と進んだが、本譜は△3七歩と変化した。確かに指し手みたい手だ。なんとこの△3七歩にも前例があるらしく(●谷川vs小林○)その将棋と50手まで同様に進んだようだ。

更に進んで下図。既に終盤戦の入り口だ。
ここでは香がちょっと打たされた形になっており、▲2八歩も利かされで、更に陣形も後手が固そうなので後手が良さそうな感じがする。

後手:羽生善治三冠
後手の持駒:飛 桂 歩 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| 馬 ・ ・ ・v金v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金v銀 ・|二
|v歩 ・v桂v歩v歩v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩v角 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ 歩 ・v歩 ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 香 ・ ・ 歩|七
| ・ ・ 金 ・ 玉 ・ 銀 歩 ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ 金 ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光王将
先手の持駒:飛 桂 歩 
【手数=54 △2五同角 まで】

図から▲5五桂△6五桂▲8一飛△3七歩▲6三桂不成△3八歩成▲5一桂成△同 銀▲3八金△5六桂と進んで以下後手の勝ちとなった。
▲5五桂が「敵の打ちたい所へ…」で用意の手だったと思われる。しかし攻め合いの△6五桂がそれを上回る手だった。▲8一飛は大長考の末の着手だが、もしかしたら予定変更を余儀なくされた手かもしれない。
△3七歩に▲6三桂不成!としたが、△5六桂と歩頭に捨てる桂馬(本譜は再度決め手と思われる歩頭の△5六桂が出現する)が好手だった。

羽生三冠強し、を印象付けさせられた王将戦開幕戦となった。

#一言日記:今日は会社の新年会があった。倶楽部泉水というところで明治天皇がご休息されたことがあるという料亭だ。明治天皇使用されたという厠で用を足した。
[2003/01/18 23:50]
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第2局1日目

第2局、後手番佐藤王将はゴキゲン中飛車を採用した。最近流行しているこの戦法は序盤から激しい変化になる場合もあるが、本局はわりと穏やかな展開となった。
と思いきや羽生三冠が▲3四飛と横歩を取って風雲急か?
下図が1日目終了の局面。

後手:佐藤康光王将
後手の持駒:歩 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・v銀v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・v飛 ・v金v角 ・|二
| ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩 ・ 飛 ・ ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 桂 ・ 歩|七
| ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治三冠
先手の持駒:歩二 
【手数=23 ▲3四飛 まで】

この歩は取り難い感じがするが、羽生らしい、突っ込んだ手と言える。2日目は朝から激しい戦いになりそうだ。

#一言日記:貴乃花関、お疲れ様でした。
[2003/01/24 02:10]

第2局2日目

封じ手は△3三角。以下▲3五飛△5五歩▲2五飛△2二銀▲2六飛△5四飛と穏やかな展開となった。
後手一歩損なので、駒組を続ける本譜の様な展開にはならないだろうと思っていたのでちょっと意外。収まってしまえば歩得の生きる将棋になると考えるのが一般的だが、後手は捌き易い陣形なのでこれはこれで均衡は保たれているのかも知れない。
少し進んで下図。

後手:佐藤康光王将
後手の持駒:歩 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・ ・v金v銀 ・|二
| ・v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・v飛v角 ・ ・ ・|四
|v歩 ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 桂 ・ 歩|七
| ・ 角 玉 ・ 金 銀 ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 金 ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治三冠
先手の持駒:歩二 
【手数=32 △4四角 まで】

ここから▲5六歩!△3五角▲3六飛△3四飛▲4六歩△2六歩▲2八歩△5六歩▲5四歩と進んだ。
▲5六歩!である。何とも凄いところの歩を突いた。▲3六飛△3四飛と飛車が対峙する危険な形(△7九角成から飛車の素抜き等)となり、△2六歩▲2八歩としたところでは先手が指し過か、と思えた。
しかし△5六歩に▲5四歩と垂らした局面は後手は5三の地点にと金を作られる手を防ぎ難く先手が優勢になったようだ。

実戦はと金を許して捌き合を目指した後手だが、先手の寄せは鋭く67手で羽生の勝ちとなった。
本譜は後手が一歩損を享受する指し方を選んだ時点で先手ペースになった気がする。また端が生きる展開にならなかったのも佐藤王将の誤算だったと思われる。
佐藤王将とってみればちょっと冴えない防衛戦の出だしとなったが巻き返しを期待したい。

#一言日記:24日の晩は家族で東京ディズニーランドの20thアニバーサリーのプレビューチケットに当選したので行って来た。忙しい中半休を取って申し訳ない>職場の皆さん。でもおみやげはなしです。
[2003/01/25 23:50]
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第3局1日目

第3局は角換り腰掛け銀に。1日目はハイペースで進み52手目を後手羽生三冠が封じた(下図)。

後手:羽生善治三冠
後手の持駒:角 歩 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂 ・v歩 ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・ 角v銀v銀v歩 ・v歩|四
| ・v歩v歩 歩 ・v歩 歩 ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 ・ 銀 ・ ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光王将
先手の持駒:歩二 
【手数=51 ▲6四角打 まで】


ちょっと仕掛けの局面まで戻ってみる。下図は▲4五歩△同歩と仕掛けてさらに▲3五歩△4四銀とした局面だ。
過去の例を見ると最近はここから▲1五歩△同歩▲2四歩△同歩▲7五歩△同歩(突き捨ての順番は不同だが)と仕掛けるのが主流のようだ。
T'sでレポートしたタイトル戦でも、
第27期棋王戦第4局 羽生vs佐藤戦(羽生の勝ち)
第43期王位戦第4局 谷川vs羽生戦(羽生の勝ち)
がある。

後手:羽生善治三冠
後手の持駒:角 歩 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・v金 ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂 ・v歩 ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・v歩v歩v銀v銀v歩 ・v歩|四
| ・v歩 ・ ・ ・v歩 歩 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 銀 ・ ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光王将
先手の持駒:角 
【手数=42 △4四銀 まで】

本局はここから突き捨てを入れないで単に▲2四歩。以下△同 歩▲同 飛△2三歩▲2八飛△6五歩▲同 歩△7五歩▲6四角と進んで封じ手の局面を迎えた訳だ。
以前はあった手かもしれないが、最近の主流の手ではないこの順を選んだ佐藤王将の意図するところは果たして...。

#一言日記:今回の様に過去の将棋を参照しようと思った時、棋譜のデータベースがないのは辛い。Macの環境は皆無に等しくこういう時はWinが羨ましく思えてしまう。どなたか局面検索できるソフトを作ってくれないかなぁ。
[2003/01/29 02:30]

第3局2日目

将棋世界誌「タカミチの実戦コーナー」の2月号はちょうど角換り腰掛け銀が題材になっていた。こちらもやはり1筋を突き捨てる形がスポットになっていた。
この形は先手優勢と言われていたが、『先の第43期王位戦第4局で羽生王位(当時)が、後手番を持って快勝してから、再び注目を集めるようになりました』とのこと。このあたりに本局の事情があるのかもしれない。

さて、封じ手は△6三金だった。以下、▲7五角△6五銀▲4五銀△同 銀▲同 桂△4四銀と進んだ。
▲4五銀は何と昼食休憩を挟んで3時間33分の長考だったらしい。桂馬を捌いて先手ペースと思いきや、ちょっと打ち難いと思われた△4四銀で意外に先手に有望な手がない。

少し進んで下図。

後手:羽生善治三冠
後手の持駒:歩 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂 とv歩 ・ ・ ・ ・|三
|v歩 ・ ・ ・ ・v銀v歩v歩v歩|四
| ・v金 ・v銀v角 桂 歩 ・ ・|五
| 歩 角 歩 ・ ・v歩 ・ ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ ・ 飛 ・|七
| ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:佐藤康光王将
先手の持駒:銀 歩四 
【手数=73 ▲6三歩成 まで】

以下△8六金▲同 歩△3六角▲7三と△同 角▲2四飛△2三歩▲4三桂△2二玉と進んだ。
角を取って△3六角が厳しく後手優勢になったようだ。と金が7三とそっぽに行くのも調子が変で、飛車を走って△2三歩に▲4三桂としてみても△2二玉で何ごともない。
以下、果敢に攻めるものの後手にいなされた。106手で羽生の勝ち。3連勝と奪取にあと1勝とした。

1日目の終了図▲6四角の味が良いと思っていたが、本譜の順でむしろ目的にされてしまって、結果として佐藤王将の古くて新しい仕掛けは成功しなかったようだ。大長考も思ったより芳しくない将棋になったためと思われる。

#一言日記:買ってから放置してあった、将棋世界誌をぱらぱらめくってみたら「タカミチの実戦コーナー」の腰掛け銀を発見した。毎回、仕掛けあたりまで同じ将棋を4局紹介しており1局につき2図面の構成になっている。
先月までは各局に仕掛けの同一局面を掲載していたが、2月号からは第1図は基本図として後は違う図面になった。こっちの方が圧倒的に良いと思いますよ、高橋九段。
[2003/01/30 00:30]
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第4局1日目

早くもカド番に追い込まれた佐藤王将が後手番で何をやるか注目していたが、意外にも三間飛車だった。この窮地に指し慣れていない(研究会等では指しているかも知れないが)戦法を選択したわけだが、果たして...。
互いに端の香車を上げて相穴熊となった。一日目の最後に局面が動いた。下図が封じ手の局面。

後手:佐藤康光王将
後手の持駒:なし
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v玉v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
|v香v銀 ・v金 ・ ・v飛 ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩 ・ ・v角v歩v歩|三
| ・ ・ ・v銀v歩v歩v歩 歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 銀 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 ・ 角 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 ・ 金 ・ 金 ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治三冠
先手の持駒:なし
【手数=33 ▲2四歩 まで】

封じ手は△2四同歩しかなく、さらに▲同 角△2二飛▲2五歩までは必然だろう。
▲2四歩の仕掛けは△4五歩の形であればここで△4四角とかわす手があり双方動き難い展開になるので先手としては得策ではないとされている。しかし本局は△4四歩の形なので先手は駒組途中にもかかわらず仕掛けに踏み切ったものと思われる。
▲2五歩には△4五歩とする位しかなさそう。対して▲6八角と引いてくれれば△4四角として何も起きそうもないが、▲3三角成△同 桂▲2四歩と動く手が成立するかどうか。

戦いがまさに始まったばかりなので2日目は朝から目を離せない。

#一言日記:車を買ってしまった。ローンが終わるまで、まっとうにボーナスが出るか心配だ。
[2003/02/13 01:00]

第4局1日目

封じ手は△2四同歩。以下▲同 角△2二飛▲2五歩△7一金▲6八角△2三歩▲3五歩△同 歩▲3八飛と進んだ。
封じ手以下▲2五歩までは必然として、ここで△4五歩や△5五歩ではなくじっと△7一金は渋い。対して先手は▲3三角成の決戦策ではなく▲6八角!?。後手ばかり2手指したことになり、一見何をやっているか分からない疑問の応手に見える。しかし、そうではなかった。
飛車を2筋に移動させて▲3五歩と3筋から動いたのが、鋭い一手だったと思う。

ちょっと進んで下図。後手が6二にいた金を△5二金と戻したところ。3筋を守るためと思われるが一旦穴熊側に寄せた金をまた戻すのは本意ではないだろう。

後手:佐藤康光王将
後手の持駒:歩 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v玉v桂v金 ・ ・ ・ ・v桂v香|一
|v香v銀 ・ ・v金v角 ・v飛 ・|二
|v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・v銀v歩v歩 ・v歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 銀 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 ・ 角 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 玉 桂 ・ 金 金 ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治三冠
先手の持駒:歩 
【手数=48 △5二金 まで】

ここから▲3二歩△3三歩▲3七桂△6二金寄▲7九金△7四歩▲6九金右△9四歩▲7八金右△7三銀引▲4六歩と進んだ。
▲3二歩が玄妙。この一手で後手の動きは制約された。それにしても後手の金の動きが不可解だ。寄って戻ってまた寄ったことになるが、どうせ戻ったのなら4三金3四歩型を目指すしかないと思うのだが。
この間、先手は右桂の跳ねや穴熊の整備と有効な手を指している。さらに▲4六歩と4筋の歩を伸ばしたが、この手が実に速い手だった。
封じ手直後は後手有望かとも思ったが、ここでははっきり先手が優勢だろう。以下形勢は縮まらなかった。

以下は蛇足だが下図を載せておく。飛車と取りに歩を叩いた局面だが、ここで佐藤王将が選択した手順はちょっと驚く。

後手:佐藤康光王将
後手の持駒:歩 
 9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v玉v桂v金 ・ ・ ・ ・v桂v香|一
|v香v銀 ・v金 ・ ・ 歩 ・ ・|二
| ・v歩v銀v歩 ・ ・v歩v飛v歩|三
| ・ ・v歩v角v歩 歩 ・ 歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・ 歩 飛 ・ ・ ・|五
| 歩 ・ 歩 銀 ・ ・ ・v歩 ・|六
| 桂 歩 ・ 歩 ・ ・ 桂 ・ 歩|七
| 香 銀 金 角 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治三冠
先手の持駒:歩 
【手数=75 ▲2四歩打 まで】

図から△9五歩▲同 歩△2四飛??▲同 角△9六歩と進んだ。
なんと飛車を見切って端を攻めた。しかしこれはさすがに玉砕手順としか思えない。

以下特に波瀾もなく103手で羽生の勝ち。本局は佐藤らしからぬ将棋となってしまった。個人的にはカド番の本局に三間飛車で挑んだのが失敗だったと思う。

羽生は4タテで王将位に返り咲いた。

#一言日記:車はWISH。低排出ガス車ということで自動車税が優遇されるらしい。
[2003/02/14 02:20]
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