第1局1日目
久々の谷川vs羽生のゴールデンカード。谷川九段としてはそろそろ懐に一つタイトルが欲しいところだろう。それに現在999勝で千勝まであと一つに迫っている。
A級第1戦(対青野九段)とJT杯(対三浦八段)で足踏みしたのは節目を是非羽生王位から取る、ということ?
JT杯の棋譜を並べてみたが谷川九段としては珍しいと思われる後手番ゴキゲン中飛車。これが不可解とも思える惨敗だったのだが驚いたことに、羽生先手の本局も▲2六歩△3四歩▲7六歩△5四歩▲2五歩△5二飛と再度のゴキゲン中飛車を採用した。
本局、23手目が封じ手となったが、序盤から大変なことになっている。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:銀 香 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金 ・v金v銀 ・ 龍|一
| ・ ・ ・v玉v飛 ・ ・ ・ ・|二
|v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
|v馬 桂 ・ 金 玉 ・ 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:角 香 歩二
【手数=22 △9九馬 まで】
ゴキゲン中飛車には(にも)詳しくないが、重要な別れなので結論が出ている気もするが、超一流棋士が踏み込むところに将棋の奥深さを感じる。
この変化はどちらも避けることは出来たはずで、意地のぶつかり合いだ。
#一言日記:王位戦挑戦者が佐藤王将になってましたが当然のことながら誤りでした。しれっと修正しておきました。
[2002/07/13 0:50]
第1局2日目
1日目の局面をちょっと補足。図の3手前の▲5五桂の局面は類似形(中飛車が先手で▲1六歩の一手が入っている形)が「ゴキゲン中飛車戦法」のp124に載っている。ちなみに近藤五段の見解は「今後の研究課題」。
▲5五桂がどのくらい生きてくるかがポイントになりそうな局面だが、封じ手は▲6六香。以下△5四銀▲2三角△5一金右▲3四角成△4二銀▲2三歩△7二玉▲2二歩成△6一香と進んで下図。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v香v金v金 ・ ・ 龍|一
| ・ ・v玉 ・v飛v銀 ・ と ・|二
|v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・v銀 ・ 馬 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 香 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
|v馬 桂 ・ 金 玉 ・ 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:歩二
【手数=32 △6一香打 まで】
先手は2筋から金をつくって横から攻めて行くが、△6一香と受けられてみると、5五桂と6六香がややぼけてしまった感じがする。先手は更に2筋からもう一枚と金を作るが攻め味が遅く、後手に軽くいなされた格好となった。
局後の羽生の感想ではこの▲2三角がやや甘かったらしい。
58手で谷川の勝ち。最強の相手から通算1000勝目をあげた。史上7人目、最年少での偉業達成。
#一言日記:スターウォーズ・エピソードII公開。観に行かねば。
[2002/07/13 23:10]
|王位戦に戻る|
第2局1日目
第2局は横歩取りになった。下図の▲3六歩は今期順位戦、青野vs谷川戦(青野の勝ち)で青野が指した新手。後手の谷川は△8二飛と指し、以下▲3七桂△8八角成▲8三歩△5二飛▲8八銀と進んだ。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂v銀v金 ・v玉v銀v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩v歩v歩v角 ・v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・v飛 歩 ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七
| ・ 角 金 ・ 玉 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ 金 銀 桂 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司九段
先手の持駒:歩三
【手数=19 ▲3六歩 まで】
本局は図から△5一金▲3七桂△6二銀▲3八銀△2二銀▲3五飛△8四飛▲2五飛△7四歩と進んだところで封じ手となった。
谷川が順位戦でやられた手を採用しているところが面白い。
#一言日記:.macはかなり評判が悪いそうだが、OS Xのメジャーアップグレードv10.2(Jaguar)にアップグレードパスがないのも腹立たしい。ゴールデンウイークにパッケージのOS Xを購入したばかりだゾ。
[2002/07/24 00:50]
第2局2日目
封じ手は▲8五歩。以下△8二飛▲7七桂△4四角▲9六歩△3三桂▲2四飛△6四歩▲4六歩△7五歩▲8七金と進んだ。後手は飛車を封じ込められたものの△7五歩と桂頭を攻めて手になりそう。▲8七金は形も悪く指し辛いがしょうがないところか。
その後▲8五桂から角交換となり、先手は左の桂も跳んで華々しい中盤戦となった。図は△8九歩成と、と金を作ったところ。一見先手が急がしそうな雰囲気だが...。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:桂 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・v金v玉v銀 ・v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
|v歩 ・ ・ ・v歩 ・ ・v金v歩|三
| ・v飛 ・v歩 ・v歩 歩v歩 ・|四
| ・ 桂 歩 ・v銀 ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 金 歩 ・ 歩 ・ ・ ・|六
| ・v角 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 歩|七
| ・ ・ ・ 桂 玉 ・ 銀 ・ ・|八
| 香vと 銀 ・ ・ 金 ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司九段
先手の持駒:角 歩二
【手数=76 △8九歩成 まで】
図から、▲8八歩△同 と▲同 銀△7八角成▲2四歩△3四金▲8七銀△同 馬▲2三角と進んだ。
▲8八歩が用意の返し技で△7六角成〜7九との二枚換えは△7六角成に▲同桂が飛車取りになる仕組みだ。また、▲8七銀のただ捨ても馬道をずらして▲2三角を可能にした好手だった。
111手で谷川が勝って連勝スタートとなった。
#一言日記:キューバの英雄リナレスの実力はどうなの? バルガスは中日の救世主になる? それ以前にバルガスって誰?
[2002/07/25 01:10]
第3局1日目
最近のタイトル戦では珍しく矢倉戦になった。ただし、双方工夫の序盤で先手は▲6八玉から一手早く玉を囲う作戦に。それを咎めるべく後手も△7五歩から動いて下図が封じ手の局面。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・v金 ・v桂v香|一
|v飛 ・ ・ ・ ・v角v銀v玉 ・|二
| ・ ・v銀v歩 ・v金 ・v歩v歩|三
|v歩v歩 ・ ・v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ 銀 歩 角 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ 歩 歩|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:歩
【手数=38 △9四歩 まで】
先手が金銀を盛り上がって厚みを生かすことが出来るか、はたまた後手が攻めの糸口を見つけることが出来るかというのが見どころか。
#一言日記:週末に東京に出たついでに、デジカメとメモリを買った。PowerBookは512Mbのメモリを刺して合計640Mbに。すると今まで回ったことのなかったファンがぶんぶん回るようになってしまった。
[2002/08/07 00:00]
第3局2日目
封じ手は▲2六歩。
戦いは6四の地点で角交換になって、先手は「玉頭の厚み+馬」で左辺を制圧。1日目からそんな気はしていたが、先手陣の厚みが生きて後手の勝ち難い展開になってした。
やや劣勢を意識したか、後手が勝負手を放った。それが下図。と金作りを見せられて後手の忙しい局面だ。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:角 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ 馬 ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v飛v金v玉 ・|二
|v桂 ・ ・ 歩 ・v金 ・v歩 ・|三
| ・v歩 ・v銀v歩v銀v歩 ・v歩|四
|v歩 ・ 歩v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| 歩 ・ 銀 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ 飛 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:なし
【手数=71 ▲6三歩打 まで】
図から△7五銀!▲同銀△3九角▲5七銀△4八角成▲同銀△4九飛▲5七銀と進んだ。
△7五銀は銀捨ての勝負手。しかし、本譜のように普通に受け流されて普通に悪くなった感じがする。
少し進んで下図。後手は6六に桂を打ったもののあまり響かず、先手の▲6三角は次の▲5二とがすこぶる厳しい。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:香 歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ 馬 ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ と ・v飛v金v玉 ・|二
|v桂 ・ ・ 角 ・v金 ・v歩 ・|三
| ・v歩 ・ ・v歩v銀v歩 ・v歩|四
|v歩 ・ 銀v歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ 歩 ・v桂 歩 ・ 歩 ・ 歩|六
| 歩 ・ 銀 金 銀 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 ・ 金 ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・v龍|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:なし
【手数=85 ▲6三角打 まで】
図から△3三金直!▲7四角成△5九龍▲6五馬△5八桂成▲同金△同龍▲6八金△5九龍▲6四歩△8五歩と進んだ。
△3三金直はとりあえず飛車の逃げ場を作っただけの手に見える。先手は悠々と▲6五馬から△5八桂成を催促して、2枚目のと金を作るべく▲6四歩とした。
先手優勢が更に拡大したかと思いきや、意外にも形勢は拮抗しており△8五歩では後手もやれる将棋になっている。先手の馬やと金攻めの効率が今一つといえばそうなのだが、ということは一見冴えない△3三金直が良い手だった?
124手で谷川が勝って3連勝。羽生は崖っぷちに追い込まれた。
全く素人の大局観はあてにならないということを実感した将棋だった。羽生王位は「4八飛(五十七手目)など、中盤の構想がどうでしたか。二つの位(くらい)を生かす将棋にしないといけませんでした。難しい場面はありましたが、攻めがないので自信はありませんでした」と振り返っている。
#一言日記:デジカメはCanonのPowerShotA40。子供がいるとこういったツールが欲しくなるものです(本当はデジカムが欲しかった)。
[2002/08/07 23:30]
|王位戦に戻る|
第4局1日目
第4局は角換り腰掛銀。角番に追い込まれた羽生王位が谷川九段の十八番を堂々受けた。
封じ手は下図。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:角 歩三
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金 ・ ・|二
| ・ ・v桂v金v歩 ・ ・v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩v銀v銀v歩 ・ ・|四
| ・v歩v歩 ・ ・v歩 歩 ・v歩|五
| 歩 ・ ・ 歩 銀 ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司九段
先手の持駒:角 歩
【手数=52 △6三金 まで】
ここまでは、手順こそ違うが第27期棋王戦第4局 羽生vs佐藤戦(羽生の勝ち)と同一。
羽生vs佐藤戦ではここから、▲1二歩△同 香▲1一角△3五銀▲4五銀△2二角▲3三歩△同 金と進んでいる。
△2二角の合わせが佐藤九段(この時はまだ無冠だった)用意の手で、後手が受け切るかとも思われたが結果は先手の勝ちに終わった。最後の△同金では「△1一角はどうだったか?」ということらしいが、あいにく私にはさっぱりわからない。
いずれにせよ、この将棋は後手の分が悪いというのが今までの見解なので、受けて立った羽生王位が対策を用意しているのは間違いないだろう。
#一言日記:スターウォーズエピソードIIを観た。思えばあれから25年も経っているんですね〜。
[2002/08/19 23:00]
第4局2日目
封じ手は▲1二歩。その後もしばらく先の棋王戦と同様に進んだ。65手目の下図は全く同一局面だ。棋王戦では後手番の佐藤九段は△3二金としたが、羽生王位は違う手を用意していた。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:角 銀 歩六
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・ ・v桂 ・|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・ ・v玉v香|二
| ・ ・v桂v金 ・ ・v金v歩 ・|三
|v歩 ・ ・v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四
| ・v歩v歩 ・ ・ 桂v銀 ・v歩|五
| 歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ 歩 銀 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司九段
先手の持駒:角 銀
【手数=65 ▲4五桂 まで】
図から△2四金▲5三桂成△同 金▲7一角△5二飛と進んだ。
おそらく△2四金が暖めていた手だろう。形の先入観に捕われていると思い付かない発想だ。▲5三桂成からの攻めは切れそうで切れない光速流の谷川九段らしい手だが、本譜はちょっと細すぎたようだ。
114手で羽生が1勝を返した。
メモ:79手目▲3九飛では▲7三飛成とする手はなかった?
#一言日記:甲子園決勝は智弁和歌山vs明徳義塾。今年の四国勢は強かった。
[2002/08/21 00:40]
|王位戦に戻る|
第5局1日目
第5局は後手の谷川九段は向い飛車を選択した。一方先手の羽生王位は居飛穴指向。▲9八香の間合いで後手が2筋から動いた。飛車をぶつけるこの反撃は向い飛車の常套手段だが、△2四歩▲同歩△同飛▲2五歩に対する飛車の引き場所が少し変わっている。
それが下図の局面だ。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v金 ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・ ・v銀 ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v飛v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・ ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 角 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七
| 香 玉 ・ ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| ・ 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:なし
【手数=28 △2三飛 まで】
△2三飛が面白い引き場所だ。
図以下▲3六歩△1四歩▲4六銀△4五歩▲5五銀まで進んで封じ手になった。
おそらく先手はもう居飛穴には組めないだろうが、後手も一度抜いた刀を鞘に戻すわけには行かないので激しい戦いになりそうだ。
#一言日記:ハリソンフォードも演じたことのあるジャックライアンシリーズの最新作トータルフィアーズを観た。ライアンも著作の方では大統領まで上りつめているが、本編はまだ駆け出しの頃の話(著作もそうだっけ?)だ。
著作は「日米開戦」までは読んだけど「合衆国崩壊」「大戦勃発」も読みたくなった。でもあのボリュームは...。
[2002/08/29 00:30]
第5局2日目
上記の将棋は千日手となった。
後手:谷川浩司九段
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v金 ・v飛v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・ ・v銀 ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩 ・ ・ ・v桂|三
| ・ ・ ・ ・ ・ 銀v歩 歩v歩|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 歩 ・ 歩v馬 ・ 歩|七
| 香 玉 ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| ・ 桂 銀 金 ・ ・ ・ 飛 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王位
先手の持駒:歩
【手数=43 ▲2九飛 まで】
ここから△3八馬▲2六飛△3七馬▲2九飛……で▲2九飛の同一局面4回で55手で千日手が成立。
ちょっと気になるのが、▲2六飛に△2五歩と打開する手がありそう。飛車は取れそうだが後手番だけに自重したか。
さて先後を変えた指し直し局。今度は後手番になった羽生王位が飛車を振った。
下図は長い序盤の終わり付近の局面。後手は9筋の位を取ってからの穴熊。4四の銀の使い方が難しそう。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v玉v桂v金 ・ ・ ・ ・v桂v香|一
|v香v銀v金 ・ ・v飛 ・ ・ ・|二
| ・v歩v歩v歩v歩 ・v角v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・|四
|v歩 ・ ・ 歩 ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 角 金 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 金 銀 ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司九段
先手の持駒:なし
【手数=40 △7二金寄 まで】
ここから▲7九銀右△4三飛と進んだ。
▲7九銀右と固めるのは最近の居飛穴の風潮で従来の▲7九金型より駒組に隙が生じ難い。△4三飛は軽い手。角の自由度が上がり、先手の引き角からの2筋の歩交換をいなす狙いがある。
下図は中盤戦。先手は更に玉型を固めた。後手は2筋の歩をかすめ取ってはいるが、依然として4四の銀の使い方が課題になっている(私見だが、後手が採用した本譜の作戦は、とても採用する気にならない)。
。
後手:羽生善治王位
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v玉v桂v金 ・ ・ ・ ・ ・v香|一
|v香v銀v金 ・ ・ ・ ・v角 ・|二
| ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・v飛v歩|三
| ・ ・ ・ ・v歩v銀v歩v歩 ・|四
|v歩 ・ ・ 歩 ・v歩 ・v桂 ・|五
| ・ 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 銀 角 金 ・ 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 銀 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:谷川浩司九段
先手の持駒:なし
【手数=60 △2四歩打 まで】
ここから▲9六歩△同 歩▲同 銀と進んだ。
詰められた玉頭からの逆襲は相穴熊戦ではしばしば現れる筋。後手からしてみればせっかく手を掛けて取った位を逆用されて、指されると相当癪な手だ。
気合いから言っても9六の銀は△同香と取りたいところだが、本譜はそういう展開にはならず、先手は相穴熊戦の天王山である端を制した形となった。
135手で先手谷川の勝ち。4勝1敗で王位を奪取。遂に無冠を返上した。やはりこの人はタイトルを持ってないとさまにならない。
#一言日記:トータルフィアーズの感想。アメリカ本土に核が落ちる話しがプロローグと言えるほどスケールの大きな物語だが、それだけに小説に対してはダイジェスト版という感じは否めない。でもそれなりに楽しめた。
凄腕工作員ジョンクラークは神出鬼没で映画の時短には欠かせない存在になっていた。ジョンクラークを主人公とした小説「容赦なく」もお薦め。
[2002/08/30 01:00]
|王位戦に戻る|
|棋戦ウォッチに戻る|トップに戻る|