第1局
今期の王将戦は竜王戦に引き続き羽生vs森内の顔合わせになった。名人vs竜王、現時点で最強のカードといって良いだろう。
森内竜王はA級順位戦も7勝0敗と他をぶっちぎっており、14日の谷川浩司王位−丸山忠久棋王戦で丸山が勝った時点で名人戦の挑戦権も獲得している。
本局の出だし▲7六歩△8四歩▲5六歩△8五歩▲7七角△5四歩▲8八銀。ちょっと古風な雰囲気の将棋になった。
図は後手が5筋の歩を銀で交換をしたところ。先手は飛車先を切っており、その代償に後手は5筋から速効気味に動いた。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v玉v銀v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v角 ・|二
|v歩 ・v歩v歩 ・v歩 ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・v銀v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 角 歩 銀 歩 歩 ・ 歩|七
| ・ 銀 金 ・ 金 ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ 玉 ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:森内俊之竜王
先手の持駒:歩
【手数=29 ▲5八金 まで】
ここからの指し手。△5二飛▲6六歩△5五歩▲6七金左△5六歩▲同 銀△5五歩▲6五銀。
▲6七金左がいかにも森内竜王らしい手と思う。8八の銀とのバランスが悪く指し難い手だが、卓越した大局観があるからこそ指せる手だ。
一見先手陣はバラバラ。6五の銀もどう使うのかと考えると後手を持ちたくなる中盤の模様だが、局面は一気に先手勝勢になってしまう。
図は▲5四歩とちょっとあやしげな歩を垂らしたところ。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・v玉 ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・v飛v角v金 ・ ・|二
|v歩 ・v歩v歩 ・v歩v銀v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ 歩v銀v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ 銀v歩 ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ 歩 ・ 歩 ・ ・ ・|六
| 歩 歩 角 金 ・ ・ 歩 ・ 歩|七
| ・ 銀 ・ ・ 金 飛 ・ ・ ・|八
| 香 桂 ・ 玉 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:森内俊之竜王
先手の持駒:歩
【手数=47 ▲5四歩打 まで】
ここから△6二金▲4五歩△3五銀▲4七金△6四歩▲7六銀△6三金▲2八飛と進んだ。
△6三金は明らかな悪手ではないだろうか。▲2八飛で3五の銀の退路がない!
銀が御用となり65手という短手数で先手森内竜王の勝ちとなった。
#一言日記:王将戦も有料(1ヶ月500円)になった。名人戦も竜王戦も利用していないが、今回試しに登録してみた。
お金をはらってまで中継や棋譜を見たいと思う人は限られているとはずだが、それにしてはちょっと内容が貧弱では?しかも本局のような将棋ではなおさら...。
[2004/01/16 22:00]
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第2局
第2局は、後手森内竜王が角道を止める中飛車を採用した。最近滅多に見られなくなった純粋な中飛車だが、挑戦者決定リーグ戦プレーオフで久保八段が森内竜王相手にとった作戦でもある。
大駒を捌きあった中盤戦は、森内竜王にしか指せないのではないかと思わせる銀打ちが出たりと、興味深い将棋となったが、意外な結末となった。
下図は△4二同金とと金を払ったところ。
後手:森内俊之竜王
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v玉v銀 ・ ・v金 ・v馬 ・|二
| ・v歩v歩v歩 ・ ・ ・v銀v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩 ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・ ・|五
| ・ ・ 歩 ・ ・ 金 歩 ・ ・|六
| 歩 歩 ・ 歩 ・ 歩 ・v馬 歩|七
| 玉 銀 金 ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 飛 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:飛 銀 歩二
【手数=70 △4二同金 まで】
ここから▲5四歩△5二歩▲5三銀△同 歩▲同歩成△4一金▲4三と△4二銀▲同 と△同 金で4回目の同一局面が生じ、2日目15時19分に千日手成立。
途中▲5三桂不成から駒得する順が2回ある(▲4三とのところで▲6三と△同銀▲5三桂不成、▲4二同とのところで▲5三桂不成)が、羽生は見送った。
という訳で仕切り直し、千日手指し直し局。こちらは中座飛車になった。
一口に中座飛車と言っても様々だが、△7四歩とした瞬間に▲3五歩と動く例の手順になった。
最近のタイトル戦では第74期棋聖戦第1局(佐藤○−●丸山)で現れたので、その辺りの指し手は、そちらを参照されたい(手抜き)。
妥協を許さない最高嶺の戦いは激しい終盤戦となった。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:銀 桂 香 歩五
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・v金v玉 ・ ・v香|一
| ・ ・ ・v銀 ・ ・v金 ・ ・|二
|v歩 ・v桂v歩v歩v歩v桂v銀v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|五
| ・ ・ ・ ・ 馬 ・ ・ ・ 飛|六
| 歩 歩 ・ 歩 歩 歩 ・v馬 歩|七
| ・ ・ 金 ・ 玉 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 銀 ・ ・ 金 香 ・ ・|九
+---------------------------+
先手:森内俊之竜王
先手の持駒:飛 歩
【手数=59 ▲3四歩 まで】
ここから△6九銀▲5九玉△4九馬▲同 玉△5八金▲3八玉△7八銀成▲2一飛△3一歩▲3三歩成△同 金▲2八玉と進んだ。
図の▲3四歩は先手陣はぎりぎり受かっているという判断で攻め合い踏み切った手だ。
△6九銀が見えている本譜の順は先手にとっても恐いところ。後手としても△6九銀と行くしかなさそうだ。▲2八玉で再び3九の香の利きを敵陣に通し、羽生マジックならぬ森内マジックかと思ったが、最後はきっちり羽生王将が先手玉を寄せ切った。
92手で羽生の勝ち。先の竜王戦4連敗を含み羽生は対森内戦5連敗(!)だったが、これを止めた。王将戦も1勝1敗になって、面白くなってきた。
#一言日記:appleのiLife(iTunes,iPhoto,iMovie,iDVD)に新たにGarageBandが加わった。欲し〜い。けど手持ちハードウエアが追従していないが悲しい現実。
[2004/01/31 22:00]
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第3局
第3局は後手森内竜王が四間飛車を採用した。後手が9筋の位を取った後、早々と△6二玉として藤井システムの布陣を放棄したのを見てから先手は▲7七角とし、互いに穴熊を視野に入れた持久戦の模様を呈してきた。
▲9八香△9二香と互いに穴熊のハッチ明けた下図では、常識的には相穴熊の戦いになることが予想されたが、外れた。
後手:森内俊之竜王
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・v桂v銀v金 ・ ・ ・v桂v香|一
|v香v玉 ・ ・v金v飛v銀 ・ ・|二
| ・v歩v歩 ・v歩 ・v角v歩v歩|三
| ・ ・ ・v歩 ・ ・v歩 ・ ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ ・ ・|六
| 歩 歩 角 金 銀 歩 歩 ・ 歩|七
| 香 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| ・ 桂 銀 金 ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:なし
【手数=28 △9二香 まで】
ここから▲7八銀△7二銀と一旦互いに美濃に組んだのが実戦の進行。
香車を上がってから美濃にするのは、居飛車が振り飛車の速攻を警戒して、居飛穴を放棄する場合などで現れることがあるが、本局のように双方で美濃にする順は珍しい。実戦上のあやと言ってしまえばそれまでだが、摩訶不思議な手順だ。
下図は▲3八飛としたところ。ここで後手が手を封じた。先手陣は結局銀冠から銀冠穴熊に組んだ。後手は桂馬を跳ねてしまっている関係上この時点では9二香は傷となっている。
後手:森内俊之竜王
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・v金 ・ ・ ・v桂v香|一
|v香v玉v銀 ・ ・v飛v銀 ・ ・|二
| ・ ・v桂v金 ・ ・v角v歩v歩|三
| ・v歩v歩v歩v歩 ・v歩 ・ ・|四
|v歩 ・ ・ ・ ・v歩 ・ 歩 ・|五
| ・ 歩 歩 歩 歩 ・ 歩 ・ ・|六
| 歩 銀 角 金 銀 歩 ・ ・ 歩|七
| 香 ・ 金 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:なし
【手数=41 ▲3八飛 まで】
封じ手は△5五歩。以下▲3七桂△3五歩と進んだ。
△5五歩では△4四角も考えられ、△4四角なら▲2八飛△3三角▲3八飛△4四角の千日手コースの可能性もあった。
本譜の△5五歩は積極的な手。対する▲3七桂も桂頭に嫌みが生じるので、負けず劣らずの積極策だ。
後手は先手の誘いに乗って△3五歩とし、局面が動いた。以後後手は狙い通り先手の右桂を召し捕り、先手は歩得をした。
更に進んで下図。7筋で戦いが起こり、互いの角金が駒台に乗った。△6五桂としてようやく後手が歩切れを解消したところ。後手の飛車は下段に位置しているので9筋に回る筋が生じており、ここでは9二香がプラスの手となっている。
ただし形勢は手番を握っている先手が若干指し易いと思わてていた。確かに何か手があれば居飛穴の遠さを生かして一気に優勢に持っていけそうな局面だ。
後手:森内俊之竜王
後手の持駒:角 金 桂 歩
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・v桂v香|一
|v香v玉v金 ・ ・ ・v銀 ・ ・|二
| ・v銀 ・ ・ ・ ・ ・v歩v歩|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|四
|v歩 ・ 歩v桂 歩 ・ ・ 歩 ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・ ・ 歩|六
| 歩 銀 ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・|七
| 香 ・ 金 ・ ・ ・ 飛 ・ ・|八
| 玉 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:角 金 歩七
【手数=76 △6五桂 まで】
ここから▲8四歩△同 銀▲5二角△6四飛▲8三歩△9三玉▲6六歩△7七歩▲8八金△8六歩▲同 銀△5六角と進んだ。
▲8四歩△同 銀と形を乱して▲5二角だが、△6四飛で決定打には至らない。▲8三歩にも△9三玉とかわした手が9筋の位を取った手がプラスに作用する手で、徐々に後手が描いていた展開に近くなって来た感じがする。
△5六角は急所の手で、いつの間にか後手ペースの将棋になってしまったのには驚いた。
138手で森内竜王の勝ち。竜王強し!
#一言日記:先週末、久々に新幹線のぞみに乗る機会があった。全席指定と思っていたのぞみだが、最近自由席があることを乗車時のアナウンスで初めて知った。
子供(幼児)の席は取ってないのでひざの上に乗せる予定だったが、自由席を覗いて見ると指定席より自由席の方が遥かに空いていた。のぞみに自由席があるって意外と認知されていない?
[2004/02/21 23:50]
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第4局
第4局は矢倉脇システム。しかし角交換から▲4一角と打つ脇システムの基本的な展開な展開にはならず、定跡最前線の攻防になった。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・ ・v金v玉 ・|二
| ・ ・v銀v歩 ・v金v銀v歩v歩|三
|v歩 ・v歩v角v歩v歩v歩 ・ ・|四
| ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・|五
| 歩 ・ 歩 歩 歩 角 歩 ・ 歩|六
| ・ 歩 銀 金 ・ 歩 銀 ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ 桂 香|九
+---------------------------+
先手:森内俊之竜王
先手の持駒:なし
【手数=39 ▲9六歩 まで】
ここから△4二角▲2六銀△4五歩▲3七角△9二飛▲4六歩△同 歩▲同 角△8四銀と進んだ。
図から△1四歩ならば、脇システムの基本的な攻防になるが、本譜は△4二角。見かけない手と思ったが、最近の朝日オープンの佐藤棋聖○−●北浜七段戦でも現れているらしい。
佐藤北浜戦では途中の▲4六歩に△8四銀と指しているが、本譜は△4六同歩から△8四銀とした。これが羽生の修正策か。
さらに▲7九玉△9五歩と後手が端から先攻する形となった。
図は後手の端攻めの後8六に地点で銀交換が行なわれた局面。端攻めの合間に先手も▲2六歩△同歩▲2三歩を利かしている。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:銀 歩四
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・ 馬 ・ ・ ・ ・v金 ・v玉|二
|v飛 ・ ・v歩 ・v金v銀 歩v歩|三
| ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩v歩 ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・v角 歩 歩 歩 ・ 歩 銀 歩|六
|v歩 ・ ・ 金 ・ ・ 桂 ・ ・|七
| ・ ・ 金 ・ ・ ・ ・ 飛 ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:森内俊之竜王
先手の持駒:銀 歩
【手数=66 △8六同角 まで】
▲4一銀△4二金寄▲5二銀不成△同 金▲9三馬△同 桂▲3二飛△2三玉▲5二飛成△4二金▲6一龍△3二銀▲6八金寄と進んだ。
▲4一銀がすこぶる厳しくこの辺りは先手優勢ではないかと思われていたようだ。というのも△4二金寄には▲9三馬△同香▲3一飛があるから。しかしそこで歩の利きに打つ△2二角!という絶妙手の切り返しがあるという。
森内竜王はこの羽生マジックを見破り▲5二銀不成と指した。
そして最後の▲6八金寄が森内竜王らしい手。形にとらわれない手で後手の攻め筋を消して手を渡した。局後この辺りでは「少し苦しくしたかと思っていた」そうだが、結果的にこの手が本局の勝因と言っても良さそうだ。
93手で森内の勝ち。マジックが空振りしてしまった感じの羽生王将、次局で踏ん張ることができるかどうか。正念場だ。
#一言日記:今年もいよいよ花粉症の季節が訪れてしまったようだ。今週辺りから鼻がむずむずしてきた。しかし今年は杉花粉が例年の1/10らしくあまり辛くない。はたまたヨーグルトが利いているのかな。
[2004/02/28 00:30]
第5局
第5局も第4局に引き続き矢倉戦。図から最新形の攻防が繰り広げられた。
後手:森内俊之竜王
後手の持駒:なし
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・ ・v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v銀v金v玉 ・|二
| ・ ・v角v歩 ・v金 ・v歩 ・|三
| ・ ・v歩 ・v歩v歩v歩v銀v歩|四
|v歩v歩 ・ 歩 ・ ・ ・ 桂 ・|五
| ・ ・ 歩 ・ 歩 銀 歩 歩 歩|六
| 歩 歩 銀 金 ・ 歩 ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 角 ・ ・ 飛 ・ 香|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:なし
【手数=48 △4二銀 まで】
ここから▲5五歩△4五歩▲同 銀△5五角▲4六歩△8六歩と進んだ。
図で▲3五歩ならば直球勝負。若武者渡辺五段がタイトル戦に初登場した第51期王座戦第5局 渡辺vs羽生戦(羽生の勝ち)が記憶に新しい。
本譜の▲5五歩は第15期竜王戦第6局 阿部vs羽生(羽生の勝ち)で阿部七段が見せた手法だ。
△8六歩で竜王戦と分かれを告げた。竜王戦は△8六歩で△7三角。
図で後手森内竜王が手を封じた。
玉が3一にいるのは角を2二に引くための工夫。先手陣は好型で、ここでは先手の模様が良さそうに見えるが実際は互角だろう。
後手:森内俊之竜王
後手の持駒:歩二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香v桂 ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v銀v金v角 ・|二
| ・ ・ ・v歩 ・v金 ・v歩 ・|三
| ・ ・v歩 ・v歩 ・v歩v銀v歩|四
|v歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 桂 ・|五
| ・ ・ 歩 銀 銀 歩 歩 歩 歩|六
| 歩 歩 ・ 金 角 ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ 飛 ・ 香|八
| 香 桂 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:歩
【手数=63 ▲6六銀 まで】
封じ手は△5五歩。以下▲同銀左△5二飛▲7七桂と進んだ。
△5五歩はなるほど感じる手で指されてみると二枚換えを避ける手順が難しいことに気付く。
結局羽生王将は二枚換えを甘受し、▲7七桂とした。
図は終盤戦。本局の真に面白いのは以降の激しい攻め合いだが乏しい棋力では解説不能だ。
後手:森内俊之竜王
後手の持駒:銀二
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ 飛 と ・ ・v桂v香|一
| ・ ・ ・ ・ ・v銀v金v玉 ・|二
|v桂 ・ ・v歩 ・v金 ・v歩 ・|三
| ・ ・v歩 ・ ・ ・v歩v銀v歩|四
|v歩 ・ ・ 歩 ・ ・ ・ 桂 ・|五
| ・ ・ 歩 ・v歩 歩 歩 歩 歩|六
| 歩 歩 桂 ・ 金 ・ ・ ・ ・|七
| ・ 玉 金 ・ ・ ・ ・ 飛 香|八
| 香 ・ ・ ・ ・v角 ・ ・ ・|九
+---------------------------+
先手:羽生善治王将
先手の持駒:角 歩二
【手数=84 △5六歩打 まで】
ここから▲6六角として5七の金取りは受けずに攻め合った訳だが、この辺りで羽生には1手勝ちの構想が描いていたことは確かだろう。
後手森内竜王も△9六桂の捨て駒から先手玉に迫るもののわずかに詰まず119手羽生の勝ち。3敗で追い込まれている羽生王将が踏ん張った。
#一言日記:将棋世界誌の新連載「盤上のトリビア」が面白い。
[2004/03/14 01:05]
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第6局
第6局は角換り腰掛銀。腰掛銀は昨春の名人戦第2局でも出現しているが、両者の対局では比較的少ない。戦績は羽生の5勝0敗だそうだ。
連敗中のこの戦型を選んだ森内竜王には、意気込みを感じる。対する羽生王将も先手の勝率が良いとされるこの戦型で後手を受けて立ち、一歩も譲らないといったところか。
2日制の棋戦にしては早い進行で、1日目は63手目が封じ手となった。腰掛銀は比較的変化の余地が少ない将棋で終盤の入り口まで同一の将棋ということも少なくないらしいが、本局も竜王戦丸山vs森内戦と同一の進行で、71手目森内竜王の▲2四歩でようやく別の将棋になった。
少し進んで下図。馬が手厚く、後手は受けきり勝ちを狙えそうだが、ここで先手に妙手が出る。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:銀 歩六
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉v桂v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v金 ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂 ・v歩 ・ ・ ・ ・|三
|v歩 ・v銀 ・ ・ 歩v歩v金v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ 桂 歩v歩 ・|五
| 歩 歩 ・ 角 ・v馬 ・ ・ 歩|六
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ 金 ・ 飛 ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:森内俊之竜王
先手の持駒:銀 歩
【手数=76 △4六角成 まで】
ここから▲3三桂成!△同 桂▲3四歩△同 金▲同 飛△5四桂と進んで下図。
終盤は駒の損得よりスピードと言うが、▲3三桂はまさにスピード最優先の手だ。71手目▲2四歩と金頭を叩いて2四金の形にしたのはこの妙手が念頭にあったからと思われる。
しかし、驚くのは昼休みのインタビュー。森内は▲3三桂成を「丸山さんに教わった手」と答えたと言う。
羽生は▲3四歩に強く△同金!として△5四桂の返し技。しかしそれを上回る妙手が用意されていた。
後手:羽生善治王将
後手の持駒:銀 歩七
9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
|v香 ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・v香|一
| ・v飛 ・ ・ ・v金 ・ ・ ・|二
| ・ ・v桂 ・v歩 ・v桂 ・ ・|三
|v歩 ・v銀 ・v桂 歩 飛 ・v歩|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・|五
| 歩 歩 ・ 角 ・v馬 ・ ・ 歩|六
| ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・ ・ ・|七
| ・ 銀 金 ・ 金 ・ ・ ・ ・|八
| 香 桂 玉 ・ ・ ・ ・ ・ 香|九
+---------------------------+
先手:森内俊之竜王
先手の持駒:金 銀 歩二
【手数=82 △5四桂打 まで】
ここで先手は▲8四角!
なんとタダの所に角を逃げた。しかしこの角は取ると▲4三銀が厳しいので取り難い。
奇抜な手が目立った将棋だった。最後に羽生も△5六角という歩頭の角打ちが出現したが、森内は冷静に対処し、109手で勝利した。
これで森内は最強のライバルから竜王位に続き2つ目のタイトルを手にした。奇しくも羽生は王将位を失いこちらも2冠となった。
A級順位戦では無敗!で挑戦権を獲得した森内王将。名人戦で再度羽生と合い見えることになる。いかな羽生と言えども止めることが出来ないのではとさえ思える森内新王将の充実ぶりだ。
羽生二冠は果たして名人戦でこの勢いを止められるだろうか?
#一言日記:今春は観たい映画が沢山あるが、第1段として先日ペイチェックを観た。ある程度ディック観を楽しむことが出来た。
公開はGWと少し先になるがキャシャーンが映画化されるらしい。さらにはデビルマンも。懐かしいので職場の新人に「キャシャーン知ってる?」と聞いたところ「知りません」と即答され会話が終わった。
[2004/03/17 23:20]
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